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日々の嫉み

妄想劇場 34

2018.07.25 12:23

(こちらは完全に妄想の物語です。

実在の人物や関係者とは全く関わりありません。)






紅白当日 8






かおるさんが来ない。

どうしたんだろう。時間もかなりギリギリだ。

だからといって自分で着付けが出来る訳でもないから大人しく待っておくしかない。

裏紅白の副音声出演も終わり、控え室に戻って用意された衿なしシャツとステテコ、足袋を履いて待つこと50分。

暇…だからといってこの格好でうろつく訳にも行かない。


コンコン。



「失礼します。星野さん、遅れてすみません。」


かおるさん!大丈夫??



満身創痍の兵士みたいにドアを開けて入ってきたかおるさん。



「ちょっと…予想してた以上に運動会でした。いや、体育祭かな?

さ。星野さんの番です。」



息を切らし肩で呼吸をしながら。額には少し汗も滲んでる。

それでも紅白の出番は待ってはくれないので。

オレも素直に従うしかない。

腕を広げて待ってるとか言ったけど…なんかそれどころじゃなくなった。

相変わらず手際よく着付けが始まる。

みるみる袴姿になった鏡の中のオレ。

最後に黒い紐でたすき掛けをしてもらった。



「よーいドン。ありがとうございました。」


ふはっ。気づいてくれたんだ。


「まさかねとは思ったんですけどね。」


ちょうど8時半からだったから。


「嬉しかった。

はい。終わりました。」


ありがとう。


「伊能さんが少し体調悪そうです。声かけてあげてくださいね。」


わかった。ありがとう。


「星野さん、お願いします。」



タイミングよくスタッフが呼びに来た。



一等賞。おめでとう。



思いがけない言葉だったのか、かおるさんがびっくりして顔を上げ、笑った。



「行ってらっしゃい。」


はーい。



タイムスリップした状態で本番に向かう。

たくさんのスタッフ。関係者。

知った顔知らない顔。

あ。寺ちゃんが手を振ってくれてる。



「源ちゃん。お疲れ。」


亮ちゃん。かっこいいねぇ。


「源ちゃんもね。かおるさんもかっこよかったなぁ。あのグレーを着こなせるのは流石だわ。そういや。かおるさん大丈夫だった?」


うん?なんで?ちょっと疲れてたけど。

ほら。この通り。


「なんかちょっと順番変わったりで大変だったみたいよ?手も怪我してたし。」


はい?



そう言えば絆創膏してたのを見てた。

聞こうと思ってたのに忘れてしまってた。



「血は止まってるけど念の為って絆創膏3枚も貼ってたよ?気づかなかったの?」


うん…


「余計なこと言っちゃったかな?ごめん。後で聞いてみな?」


うん。


「星野さん。」


はい?

あ。修さん。大丈夫?


「すみません、僕のせいでかおるさんに迷惑かけちゃったみたいで。」


え?そうなの?


「僕スタートだったのにお腹下しちゃってトイレ入ってたんです。かおるさん急遽順番変えてくれて僕を少し休ませてくれたりして。おかげでだいぶ良くなったんですけど。」


そっか。ならよかった。


「でもそのせいでかおるさんちょっと大変だったみたいで。すみません。」


仕方ないでしょ。お腹壊したのなら。

オレもやるときゃやるし。


「源くん!本番頑張ってね~」


はーい。



仲良しジャニーズくんが声をかけてくれた。

オレのそばまで来て耳打ち。



「さっきオビナタサンと話しちゃった。」


え?


「ちょっとだけね。お手伝いしたの」


どゆこと?



世界はオレを中心に回ってないことは重々承知だ。

大きいことも小さいこともとにかくコントロールなんて効かない。

オレの周りの人間関係だってそう。

顔にハテナマークがたくさん出てたんだろう。

ジャニーズくんは笑いながら離れていった。


できた女だな。オビナタカオル。

オレには何にも言わなかった。亮ちゃんの所から来た割にはえらい満身創痍だなとは思ったけど。

修さんの控え室は確か3階。てことはフロア2個分駆け上がったのか。

そりゃ息も上がる。でも何食わぬ顔でオレの着付けもしてくれて。

絆創膏3枚は…忘れてたな…

本番終わったら聞いてみなきゃ。


舞台袖でスタンバイ。

目の前には舞台上で上半期の朝ドラのショートドラマが繰り広げられている。

この中にタイムスリップ隊は歩いて入っていく。

一緒になって演技しつつそのまま演奏し始めることになる。

今はあなたのことは頭の片隅に入れさせてくださいね?かおるさん。


スタッフの合図で眩しい舞台へとオレたちは出ていく。オレのマリンバを。日本のど真ん中で叩いてやる。電波に乗って世界へ轟かせるんだ。