長崎 波佐見 ・Jazz Spot Doug(ダグ) ④18/07
長崎・波佐見のJazz Spot Doug(ダグ)さんを久しぶりに再訪。。。このお店に来るといつも盛り沢山のネタで閉店まで居座ってしまうのですが、さて今回は?
今回の最大のお目当ては、宮崎・Far Cryさんでも聴かせていただきましたが、コルトレーンの未発表音源アルバムをこのお店のシステムで味わうこと。
マスターに勧めていただいたので、スピーカー真正面の「オーディオ的に一番いい席」に移動して聴かせていただきましたが、頭からカッコいい音を浴びて、体中に沁み渡るジャズに身を任せる快楽。やっぱり行って良かった! 聴き終わった後は、何だかすっきり浄化された感じ。
何でも最高のものを提供したいという信念のマスターが、「生の音」ではなく「生きた音」を目指して育ててこられたこのお店のシステムは、そのハコの材質・大きさも利用した強い音圧にその特徴がありますが、このシステムで聴くこのレコード、本当に気持ち良かったです。新しいモノラル針が増えていて驚きましたが、その効果もあったのでしょうか?ありがとうございました。
もうこれだけでもお腹いっぱいなのですが、サービス満点のこのお店はこれぐらいでは前菜程度。
先日行われたというこのお店の「29周年」ライブですが、何とアルフィーのママご勇退ライブ@福岡、E-Threeとの対決?ライブ@熊本・酔ingさんと、立て続けに聴いてきた福岡の歌姫MAYUMIさん。
このお店の特徴の一つにライブ音源が素晴らしい音で録音(注1)されていて聴かせてもらえることにあるのですが、そのお陰でMAYUMIさんの3つ目の顔を見ることが出来ました。
曰く、バックがアルフィーさんと同じPapa&Son(川上俊彦さん(B)&緒方公治さん(P))でしたので、MAYUMIさんは安心して自分の世界を披露、と言う意味において、酔ingさんでのパワーMAX・怪獣モード?とは大きく違ったのですが、それではアルフィーさんと同じだったかと言えば、これもまた違う。
ホームとアウェーの差とでも言うのでしょうか?アルフィーさんでのあのリラックスしたMAYUMIさんではなく、メイク・気合い共にばっちり入った感じ。。。どれも良い悪いではなく、MAYUMIさんの幅だと思いますが、きっとこの29周年ライブが通常モードなんでしょうね。実に面白かったです。
ライブ録音と言えば今回は、マスターが日本人で一番好きなサックス奏者とおっしゃる宮沢昭さんの演奏も聴かせていただいたのですが、これもまた素晴らしかった。しかも、この宮沢さんが川釣り名人ということから続いたお話(注2)はあっちこっちに飛び火。面白かったし、勉強になりました。
ところで、このお店のマスター、実は本職をお持ちで印章店 立石清光堂の社長。しかも、その土地柄もあって、波佐見や有田の陶磁器用の手彫りゴム印も製作(注3)されるハンコ職人でもあります。
この季節限定の不二家「有田焼ミルキープリン」をご存じでしょうか?
ペコちゃんファンの間でちょっと話題になっているというこのペコちゃんの印章もマスターの作品。
色々教えていただいたのですが実に面白く、そのお話だけをまとめて別記事にてアップしましたので、こちらの記事【「不二家 有田焼 ミルキープリン」の図柄の製作者はジャズ・バーのマスター?!】をご覧くださいませ!
ところで、このお店の唯一の不満点は禁煙であること。。。それが嬉しい方もいらっしゃるとは思いますが。苦笑
この日も途中で外に抜け、一服していたのですが、そこに見るからにあやしい二人連れ。
店の看板等を色んな方向からパチパチ撮影した後にご入店。。。あぁ、自分も客観的にはこんな風に見えるんだなぁ等と思いましたが、福岡からわざわざ来られたというこのA・IさんとR・Fさん、ご訪問された九州のジャズ喫茶/バー等をご自身のインスタにアップされておられるという実に奇特な方々。笑
【参考:このお二人のインスタのアドレス】★A・Iさん:randy_rhoads0511 ★R・Fさん:fukuyamaryoko
お二人に私のこのサイトのお話をしたところ、サイトだけでなく私の個人情報までご存じでびっくり!。。。一体、何故?
お答えを聞いてみると実に単純。先日、福岡・柳川のGroovy(グルーヴィ) さんに行って来られたのだそうで、それをお聞きした瞬間、あっさり納得。。。確かにあのマスターは九州のジャズ喫茶/バー・トップ級のおしゃべり好き。笑
ただ、あのマスターに気に入られ、色んなお話を引き出されたのは、このお二人のご人徳の賜物。
そしてそれは、サービス精神の旺盛さでは九州のジャズ喫茶/バー・トップ級のダグのマスターの琴線にも触れたようで、ダグ流おもてなし攻勢が開始。。。ご相伴にあずかることが出来た私はツイていました。笑
まずはマスターが、このお店で毎月第二土曜日に行われるセッションのホスト・ピアニストEIKOさんにダラー・ブランド(現アブドゥーラ・イブラヒム)のウェディングをリクエストされ、いらっしゃったばかりにもかかわらず、笑顔でご披露。
また、今度のライブ末元紀子さん(Vo)と大石学さん(p)の新アルバムをかけられたところ、A・Iさんが既にインスタ友達だったという不思議な縁も発覚。やっぱり縁って、面白い。
閉店時間近くになり、カウンターを埋め尽くしていた常連さん達がお帰りに。。。通常なら私もこのタイミングでお暇するのですが、今回はマスターのお誘いでこのお二人がカウンターへ移動、私もちゃっかり混ぜていただいて、延長戦の開始。
間近でこのお店のシステムを教えてもらい、興奮気味のA・Iさん。。。というのも、この方はご自宅でJBL4343と4312をマッキントッシュのアンプで鳴らしておられるというオーディオ・マニア。
九州ジャズロード巡りの中でも数々出会ってきたあの銘スピーカーがご自宅だとどう響くのか、個人的にとても興味がありますが(笑)、一方、同じスピーカーをお使いだからこその楽しみもあるのだろうと羨ましく思った次第。
オーディオと言えば、このMJ(無線と実験)誌に掲載されたこのお店の音響測定記事を見せていただいたのですが、このお店のハコの音響の良さが科学的にも実証されていることに驚きました。
また、そんな連載があったこと自体も面白かったですが、その前々号にあのシンセサイザーで有名な喜太郎氏の米・デンバーの自宅が取り上げられているのを見せてもらい、またビックリ。ちなみに、前号は行方不明で見せてもらえませんでしたが、マスターがその保全活動で携わられておられた波佐見公会堂だったとのこと。
お二人を前にしてまたペコちゃんの話に戻ったり、釣りの話から「釣りはシミュレーションの連続」というとても興味深く印象的なお話(こちらも詳細を新シリーズ「九州ジャズもんの一言」に書きましたので、ご覧ください)になったり。。。
そこからこれまでの釣果の話になって、この釣った多くの魚は「日頃ご迷惑をお掛けしています」とご近所さん対策に大いに役立っていると笑いを取られたり、マスターも飲みながらとっても楽しそうで、あっという間に25時前。
ということで、今回はこのお二人のお陰でいつも以上に濃密な時間を過ごさせていただきました。私の知らないお店も色々教えていただきましたことも併せて、どうもありがとうございました。今後共、よろしくお願いいたします。また、この不思議な縁にも感謝。
そしてこの日のもう一つの目的、九州ジャズユニオンでマスターが私を紹介していただいたことからその縁を得た「九州ジャズロード」の著者 田代俊一郎さんのサインについて、マスターにご報告・御礼も出来、とても充実した一日となりました。
それではマスター。また機会を作って伺いますので、その節もよろしくお願いいたします。
【駐車場:有、喫煙:可】
(注1)色々聴かせていただいているライブ音源。以前、ドラムの中村健さんの還暦記念ライブで聴いて買った小國雅香トリオのNew Standardsは九州ジャズユニオンで出したCDだったのだそうですが、その内の何曲かはこのお店でのライブ録音。
それらの録音があまりにも生々しいので、以前から不思議だったのですが、今回お聞きして少し謎が解けました。担当されておられるのは全て常連の電気屋さんだそうですが、その方がある時、おっしゃったそうです。「マスター、店、やめんでね。ここのために録音機材を完璧に揃えたからね」
マスター曰く「俺、そんなお願いはしてないんだけど、日頃目指しているレベルの高さをよく知っているから頑張ってくれるんだよね」
「そのお店のレベルは常連さんを見ればよくわかる」とよく言いますが、なるほど!と納得の一コマでした。
(注2)マスターがこの随想にも書けなかった川釣りの名人の宮沢昭さんに弟子入りされた時の逸話。
最初のライブの後の打ち上げで、お互い釣り好きがわかった後の宮沢さんとマスターの会話。。。「川に行ったら、まず何をする?」「虫を探します」「その次に何をする?」と問われて窮したマスターに宮沢さんが言い放った答えがスゴい!「食べるんだよ。そうすれば、どんな魚がいるかわかる」
この会話で宮沢さんに惚れ込み、その場で弟子入りを申し込んだマスター。宮沢さんの釣りの雅号「渓秀」にあやかり、その一番弟子で磯釣り専門ということで「磯秀(キシュウ)」を頂戴したのだそうです。
その雅号「渓秀」とサインされたジャケットのこのレコードも聴かせていただきましたが(右のマスターの浮きには「磯秀」の印)、釣り好きつながりでドラムの守(モリ)新治さんに話が展開。その発売が残念ながら実現しなかったこのお店でのライブCD「BLACK SEA」を聴かせていただいたり。
ちなみに、この守さんも後日、宮沢さんに弟子入りし、「石秀」という雅号を頂戴したそうです。
(注3)全国的に見てもゴム印を手彫りする職人は少ないのだそうですのが、陶磁器用の手彫りゴム印の製作工程にご興味がある方はこちらをご覧ください。
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