KAWASAKI VULCAN/VULCAN-II 1995
VULCAN/VULCAN-II 1995
この時期ライバルであるホンダが1988年にデビューさせていたスティードが7年を経過しても依然として市場を賑わしていた。V-twinの和製アメリカンとしては、ヤマハが1986年に放ったビラーゴが先陣を切っていた訳ではあるが、スティードの人気は異常とも思えるほどの勢いでもあった。スズキもV-twinのアメリカン・VS750イントルーダーを1986年にデビューさせてはいたが、400ccクラスにはKS400サベージを配していた為に、V-twinの400には遅れをとっていた。
カワサキは、Z400LTD(1979y)から並列ツインを継承させていた400ccクラスのアメリカンVULCAN400を水冷にしてイメージアップを図ってカタログラインナップさせてはいたが、スティードの拡大し続ける勢いを断ち切るには打つ手を欠いた状況ではあった。
そんな状況下でV-twinのVULCANのデビューは、意表をつくと言うものでもなく、じっと耐えていたカワサキが満を持して送り出した…と言うのが適切な表現だったのではないだろうか?
VULCANのデビューには、800/400の抱き合わせと言うオマケがある。更に、この両者の間には同じ車体構成の上にエンジンブロックも共通と言う事実もある。シリンダー内のボア&ストロークのみが異なるだけのものだから、400ccクラスとしては少々重量過多ではと危惧の念も抱いた。だが、カワサキとしては、このボリュウム感こそアメリカンらしさの本髄と答えを出したようだ。
実際に造りは丹念だし中型車としてのチープな感じは皆無となって見栄えは悪くはない!DOHC4バルブのシリンダーのデザインも凝りに凝った美しさがある。しかし、カワサキのファンとしてはEliminatorにゾッコン惚れていた向きも多く、ハーレーに帰属するV-twinをカワサキが右に習えで採用することを素直に喜んだのかどうか未だに疑わしいものがある。
テーラーバー・ハンドルのバルカンに対し、フラット・ハンドルを与えたVULCAN-II。スターリングはどちらも奇をてらうではなく、オリジナルの色合いも醸し出していてデザインも悪くない。ボア&ストローク:62.0×66.2mmのロングストロークエンジンも重量223kgの車体を走らせるに実に力度良い印象もある。もっと売れ行きに結びついても良いとさえ思えるモデルでもあった。