『W旦那+(プラス)』 TAKAOMI⑪ 三代目妄想劇場ショートストーリー
2018.07.27 14:30
遅れて帰ってきたまりあが息を整えながら話し始めた。
「この秋に入園予定の男の子が、昨日そこのベンチで腰掛けていた女の人と、隆臣くんが話してるの見たって」
健二郎「昨日やんな!その目撃した子って、ひょっとして太陽くんじゃ?」
まりあ「そうです!太陽くんです」
臣「それで?」
「その時は少し話をして、すぐに隆臣くん、お友達の所へ戻ってきたらしいんですけど…」
臣「けど?」
ケホケホ…とまりあが咳をした。
直人は周りを見渡して、
「喉がカラカラなんだよ、誰かお茶買ってきて!」
伸之「あ‼︎俺、行ってきます」
まりあ「今日も同じベンチにその女の人が座っていて…」
臣「それで?」
まりあ「昨日はなかったベビーカーがあって…」
直人「ベビーカー?」
まりあ「ベンチに座ってる時は中に何も入ってなかったけど」
「太陽くん達が帰ろうとして公園の入り口付近ですれ違った時は、ベビーカーの中がこんもりしていて、中に何か入っているみたいだったって…」
臣「…⁉︎」
「太陽くんが言うには、顔は見えなかったけど、おっきな赤ちゃんが乗ってたよって」
臣「それって…隆臣じゃ?」
直人「まさか?…連れ去り?」
臣「その女の人、どこに住んでるか聞いてくれた?」
まりあ「はい、太陽くんのお母さんも顔は見たそうなんですけど、知らない人だったって」
臣「誰なんだ?…くそっ‼︎」
苛立ちを隠せない臣に、ビクッと反応するまりあを見て、直人が優しくフォローする様に言った。
「まだ断定はできないけど、よくそこまで聞いてきてくれたね!ありがとう」
「いえ…ケホッ…」
伸之が走って帰ってきた。
「お茶どうぞ」
「あ、すみません…」
つづく