RIVALS EYE【エキシビジョン:[フキョウワ]】
RIVALS EYEとは
ライバル達が熱いホンネをぶつけ合う
30リーグ参加団体による公式戦の観戦リポートです
今回はエキシビジョンマッチとして開催された
『MoreGoofy's×D地区』を
[フキョウワ]がレポート
はたしてライバルはこの公演をどう観たのか?
【[フキョウワ]観劇レポート】
私は大学入学と共に演劇を始めました。1年生の4月にサークルに入り、同年6月に新入生参加型で20分程度のオリジナル作品を4本上演する公演で初めて舞台に立ちました。
1本20分はとても短く、その短い中で起承転結をつけ、やりたいことを詰め、観る人全てに楽しんでもらおうと当時19歳の知識も経験もない私は右往左往、色々工夫した記憶があります。
あれから13年。昨年から縁があり、30x30を観る機会が増えました。
20分も30分も短編になると、各団体が工夫を凝らして「時間をどのように消費する」か、作品によって違って、飽きないし、観ていて考えさせられます。
MoreGoofy’s
本番より2週間ほど前に、脚本演出の上田ダイゴさんがされている7月の演プロを配信動画で観ました。
その中で色々30リーグの各団体の感想も率直にコメントがあり、
30分の使い方に関してのあるべき論(ダメ出し)も述べられていて、すごく共感しました。
故に本番を非常に楽しみにしていました。
観た感想ですが、生死のテーマに関して丁重に扱われており、
終始すごく安心して観ることができました。
・無駄のない配役
・意図のある小道具(衣装含む)
・1テーマ1シチュエーション
教科書のような作品でした。
題材が西洋なので、時代考証的に若干役者には目を瞑って観たほうが楽しめる作品でしたが、
主人公の方の汗染み渡る演技は圧巻でした。
作品の印象的な部分。主人公は過去の自分の罪を償いたくて、被害者の血筋をもつ男性に会い、自身の罪を死でもって裁くように依頼したが、男性はその権利の自覚がなく、主人公の思うようには裁いてはもらえなかった。
自分の描いた物語に他人を巻き込むことって難しいですよね。
大多数が「あの人は当事者だ」と思っていても、当の本人が「そう」思っていなければ、当事者になり得ないし、逆も然り。
最近のクルマのニュースもそうですよね。そんな事を考えさせられました。
D地区
題材は某宗教。
最後まで、遠い架空の話にしたかったなぁと。
最後に元首相の一件に触れた時に、酷い現実をぶつけられたような気がして、目の前が真っ暗になり苦しくなりました。
話は特定宗教が深く絡む地域で3世として生きる主人公と妹。
出てくる登場人物の全員が、各々の欠けている部分を宗教で埋めて、生きている。
そこで生まれ育った者はそれをアイデンティティと呼ぶべきか、その運命を受け入れるべきか否か。
宗教に懐疑的な主人公に対して、信仰深い男性(加藤)の「私は間違いで、あなたは正解か?」というセリフが印象的でした。
ほぼ最後の、このセリフに持っていくまで非常に精微に、リアルに作品が作り込まれていたが故に、観たものの全てにこの問いは響いたんではないでしょうか。
話は少し変わりますが、私はドラマのTRICKが好きで何度も見てるのですが、同じ、救いようのない「匂い」がして、とても楽しかった。自分に自信がある人ほど笑顔が多いのはなんなんでしょうね。
なんといっても、登場人物全てがキモい。
衣装がとても作品の雰囲気に合っていて、声もキモい、動きもキモい。
最終的には役者全員の顔が生理的に無理になりました。
(※中傷ではなく、賞賛の意味です。)
役者目当てで芝居を観ることはほとんどないですが、こんな人たちとは二度と関わりたくない。
そんな風に感じる、この統一された「キモさ」を作る舞台衣装って大事なんだなと再認識しました。
後日、Twitterにあがっている原作の台本を何度も読みました。
今回30リーグ版で少しカットされていましたが、台本上では感じ得ないキモさが舞台上にはあって、
生の声で、生の動きで脚本をこういう風に表現できる舞台っていいなぁと感じました。
両作品とも、脚本の扱いたいテーマがすごくシンプルで、やりたいことが無理なく詰まっていました。
故にシャープになって見応えがありました。
[フキョウワ] 藤原政彦