陶枕やゆっくり沈む難破船
http://haiku.g2.xrea.com/sqk202106.html【俳句スクエア集」2021年 6月号鑑賞 Ⅰ 朝吹英和】より抜粋
陶枕やゆつくり沈む難破船 五島高資
夏の暑い時期には藤枕や籠枕等で微睡む昼寝が気持ち良いもの。肌触りのひんやりした陶枕での夢見のワンシーンであろうか、中七下五の措辞には太古の時代へタイムスリップするようなロマンが感じられる。
「沈む難破船」で連想するのは 潜在意識にたとえられる「海」、「顕在意識(自我)の破れ」、「沈み続ける意識」、「夢で潜在意識に触れる」などです。
http://www.asahi-net.or.jp/~nu3s-mnm//kokuunowa-ku.html 【インナーチャイルドの癒し 虚空のワーク】
Facebook清水 友邦さん投稿記事
自我は自分を誤魔化して、偽りの仮面をつけて外からの刺激に反応して生きています。
自我は深く眠っているので、本当の自分に気がついていません。
ある日、刺激に反応するだけの機械のような状態に違和感を感じて、自由になるにはどうすれば良いのか、探求の旅にでます。探求の旅は驚きと至福と美しさに満ちています。
それと同時に魂の危機が訪れる危険な旅でもあります。
恐怖と悲しみと不安、深淵な虚無の暗黒が待ち受けています。世界中の神話は共通の構造を持っています。
英雄は冒険の旅でしばしば恐怖、怒りの感情を表し、復讐や戦いの中で「最大の試練」を迎えます。
最後の難関で邪悪な怪物に追い詰められますが、手に入れた魔法の力を使って追跡をかわし、危機を脱出します。
神話学者ジョセフ・キャンベルによると神話の構造は次の3つのパートに分かれます。
1 セパレーション〈日常世界からの分離・旅立ち〉
英雄は他界へ冒険の旅に出ます。
古代インドの大長編叙事詩『ラーマーヤナ』物語のラーマ王子は、鹿を追って一人森に入っていきます。
2 イニシエーション〈通過儀礼〉
魔王ラーヴァナに妻シータはさらわれ、ラーマ王子は矢で撃たれ、蛇に巻きつかれる苦しく困難な最大の試練に巻き込まれます。
ハヌマンという猿の大将やガルーダと言う大きな鳥に助けられラーマ王子は危機を切り抜けます。これは神話の構造でマジックフライト(呪的逃走)と呼ばれているパターンです。
3 リターン〈帰還〉
危機を脱出したラーマ王子は、魔王との戦いに勝利して妻シータを連れて無事に自分の国へ戻ります。
この英雄の旅は、私たちの自我が成熟していくプロセスでもあります。
1 セパレーション(日常世界からの分離)
今まで身につけていた偽りの自我が、まわりの環境と合わなくなり、葛藤が強くなって自我がゆらぎます。
いままでに築き上げてきた物質的なもの、人生に価値があると思っていたもの、すべてが意味を失っていきます。
底無しの虚無感、無力感に襲われます。
今までの古い自我の境界がゆらいで変容が起きます。
2 イニシエーション(通過儀礼)
古い自我の境界を超えるときに、しまい込まれた過去の辛い記憶や否定的な情動と出会います。
否定してきたエネルギーをあるがままに受け入れることで、まったく新しい未知の領域に入ります。
自我の境界が溶けだし、通常の時間と空間の感覚を消失します。
光と闇、善と悪、賞賛と嘲罵の相克の中で世界の創造と破壊のヴィジョンが現れます。
自我の死と再生のプロセスが起きます。
ここで自分自身と向き合うことを避けてきた人は分離させたエネルギーを受け入れることができないので、慣れ親しんだ自我に退行して自己の殻を強化してしまい再び冒険の旅に出ようとしなくなります。
偽りの仮面に気がつくまで否定的な感情と何回も向き合わなければならないのです。
その葛藤をあるがままに受け入れることで、新しい自我が形成されます。
3 リターン(帰還)
宝物である永遠の命と至福(本当の自分)を手に入れて、故郷(日常世界)に帰還します。古い自我は滅び、より器が広がった新しい自我が再生されます。
偽りの自分から、ゆるぎない本当の自分に戻ります。
神話の主人公は、以前に失敗を犯した時と同じ状況に見舞われますが、今度は正しい行動を取る事で内面的な成長を遂げます。
受け入れられない状況に陥ると自我は、恐怖や不安を感じないようにすぐに思考を強めて、情動を感じる通路を封鎖してしまいます。
あるがままの自分と直面しないようにしてしまうのです。
そうして自我は、自分を誤魔化して偽りの仮面をつけて、外からの刺激に反応して生きています。
心の旅とは、到底受け入れられない状況の中で、仮面を脱ぎ捨て真の自分自身を取り戻して、故郷に帰還する旅でもあります。
つまり、人生とは本当の自分である、我に帰る旅なのです。