犬の『ヒート』とは?体の仕組みやヒート時の注意点について
避妊手術をしていない女の子の場合、性成熟を迎えると発情期がやってきます。これを『ヒート』と呼びます。出血があるので「生理」と呼ばれることもありますが、人間の生理とは仕組みが違います。
今回は犬の『ヒート』の仕組みとその時期の快適な過ごし方、気を付けたほうが良いことなどをお話します。
犬のヒートの周期としくみ
体の大きさや犬種によりますが、初めてのヒートは生後半年~1歳半で訪れます。
その後の一般的なヒートの周期は6ヶ月に1度です。
ヒートの期間は1週間~3週間ほどで、これも個体差があります。
人間の場合は妊娠が成立しなかった場合に子宮内膜が剥がれて生理が起こりますが、犬の場合は発情前期から発情期にかけて、子宮内膜が充血することにより出血します。
具体的な症状
犬のヒートは、具体的には下記のような症状が現れます。
✔ 陰部が膨らむ
✔ 乳房が腫れる / 膨らむ
✔ 陰部からの出血 / おりものがでる
✔ 落ち着きが無くなる
出血量には個体差があり、まったく出血しないこともあれば出血していてもすぐに舐めて飼い主さんが気付かないケースもあります。
また落ち着きが無くなったりいつもと違う行動をする子もいます。
また、ホルモンバランスにより食欲が落ちたり寝ている時間が増えることもあるため、「元気がない?体調が悪い?」と感じることもあるようです。
ヒート中の注意点
基本的にはいつもと同じ過ごし方で問題ありませんが、避けたほうが良いこともあります。
①ドッグランやイベントなどは避ける
出血量が少なかったとしても、犬はヒート時期の匂いに敏感に反応します。オスを興奮させてしまうため、不特定多数の犬が集まる場に行くのは避けましょう。
②トリミングはヒートが終わってから
①と同様、他のオス犬を興奮させてしまうため避けたほうが良いでしょう。
また、犬種によっては長時間のトリミングで体力的にも負担をかけることになります。
ホルモンバランスの乱れにより肌が敏感になっている場合、皮膚トラブルを起こす場合もあります。ヒートが終わってから皮膚や被毛をきれいにしてあげましょう。
③お散歩は様子を見て
いつもより元気や食欲が落ちている場合、無理にお散歩に行く必要はありません。愛犬の様子を見て判断しましょう。また、匂いに反応したオス犬とトラブルになる可能性もあるため、なるべく合わない時間帯を選び、すれ違う際には距離を取りましょう。
こんな場合は病院へ
ヒートかと思っていたら、実は病気だった…ということもあります。普段よりも意識して愛犬の体調を見ておきましょう。
【長期間出血している】
生理の出血はだいたい2週間くらいでおさまります。長期間出血している場合には、膣の炎症や卵巣の機能不全などの可能性があるため、一度病院で診てもらいましょう。
【おりものが多い】
子宮の病気で1番気を付けたいものが「子宮蓄膿症」です。子宮蓄膿症は、陰部から血まじりの膿が出て生理と間違えることがあるため注意が必要です。子宮蓄膿症の場合には、発熱、食欲や元気の低下、多飲多尿、嘔吐、お腹の張りなどの症状が同時にみられることが多いです。緊急で手術が必要になることもある病気のため、気になる症状があれば早めに病院に相談しましょう。
【膀胱炎】
尿に血が混ざっていてもヒートと間違うことがあるため、注意が必要です。
おわりに
初めてヒートを迎えたときには病気かと思って慌ててしまう飼い主さんもいらっしゃいますので、女の子を家族に迎える際には正しい知識をもっておきましょう。
犬のヒート年に1~2回と少ないですが、期間中は他の犬とのトラブルや妊娠のリスクがあるため注意が必要です。また、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍、卵巣腫瘍などの病気のリスク低下を目的として、避妊手術をすることもあります。その場合には、高齢になると麻酔のリスクが高くなるため、若くて健康な時期に手術をすることをおすすめします。
わからない事や悩むことがあれば、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。