脳脊髄液(のうせきずいえき)
夏は冷やっこ!という方もいらっしゃるでしょう。
鰹節や薬味とお醤油のスタンダードはもちろん、ジャコや海苔と生野菜なんかもいいですね。
今夜は豆腐サラダを食べました。
豆腐の多くは、水を満たしたパックで売られています。
浮かせておくことで、衝撃から守るためです。
また、空気との接触部分をなくして、豆腐を傷みづらく水分量を保つ働きもあるそうです。
実は、私たちの脳も同じしくみで守られています。
脳や脊髄(脳から腰まで繋がっています)は、脳脊髄液という液体に満たされた状態で硬膜に包まれています。
脳脊髄液の役割
脳を外部の衝撃から守る
脳のかたちを保つ
頭蓋内圧をコントロールする
脳の老廃物を排泄する
栄養やホルモンを運ぶ
無色透明で、量は成人で約130mlほど。
脳で作られ、脊髄を仙骨のところまで周り、また脳に戻ってきて吸収されます。
24時間に約500ml産生されていることから、1日に約3~4回入れ替わっている計算になります。
心臓のように押し出す力ではなく、呼吸による骨の動きがポンプの働きになって循環しています。
わずかに思える脳脊髄液ですが、その量や圧、循環や産生・吸収のバランスが狂うと、様々な症状や障害を起こします。
事故などで硬膜が傷つき脳脊髄液が漏れ出たり減ったりすると、頭痛、頸部痛、めまいなどの様々な症状が現れます(脳脊髄液減少症など)。
水頭症は、脳脊髄液の循環障害によって起きる病気です。
この頃のCMに「?」と思って検索してたら、特発性正常圧水頭症(とくはつせいせいじょうあつすいとうしょう)の啓発広告でした。
“idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus”の頭文字をとってiNPH(アイエヌピーエイチ)。
何かしらの原因で、頭蓋内に脳脊髄液が溜まり、脳が圧迫され、歩行障害・認知症・尿失禁などの症状が出ます。
老化による症状と見分けにくい病気ですが、治療で改善が見込めると注目されています。
原因不明の辛い症状や歳のせいと諦めていたことの一部には、どうも脳脊髄液が関係していることが含まれていそうです。
詳しい情報や治療については専門医にお任せするとして・・・。
セルフケアでは何が出来るでしょうか。
①熱を避けて豆腐を冷蔵庫に入れるように、コンピュータには冷却ファンが付いているように、頭にもクールダウンが大切です。
長々と怒ったり悔んだり、頭グルグルのネガティブなループからは早く抜け出しましょう。
あなたの気分転換技は何ですか?
②首の付け根が緩むと、血流や脳脊髄液の循環も良くなります。
仰向けに寝て、後頭部に手の平を当ててみましょう。
軽く目を閉じて、ゆったり呼吸します。
気持ち良いところを探って指を立て、頭の重みを乗せてみるのも良いです。
指で強く押し上げる必要はありません。
(むしろ逆効果になることもあるので、頭の重さを利用して。)
③脳脊髄液の循環には、仙骨の動きが重要です。
呼吸に合わせて骨盤[仙骨、尾骨、寛骨(腸骨、座骨、恥骨)のセット]が立ったり倒れたりする「うなずき運動」が、ポンプの役割をしています。
骨盤を立てたり緩めたりのストレッチも良いでしょう。
④頭蓋骨を覆う筋肉が緊張していると、脳脊髄液の産生と吸収を妨げる可能性があります。
頭のマッサージで緊張を緩めましょう。
どれも、脳脊髄液だけのためではなく、心身全てを癒やし元気にするケアです。
脳脊髄液についてはまだ解っていないことも多いそうですが、自然治癒力の要なのは確か。
普段はなかなか意識することもありませんが、私たちは奇跡の仕組みで守られているのですね。
晩御飯に豆腐の水を切りながら、有難いなぁと思いました。