2018年10月からの新しい福利厚生制度について
2018.07.30 09:05
職員の皆様、お疲れ様です。
院内のイントラネットにおいて、
2018年10月より
新しい福利厚生制度として
ライフプラン支援制度
=選択制確定拠出年金制度
を導入予定であるとしています。
そもそも、「2018年10月から運用される確定拠出年金って何?」というご質問をいただいたため、ご紹介します。
企業型確定拠出年金(DC)は、企業年金の一種です。
一時払いの退職金とは異なります。職員が退職した後の生活のために受け取るお金を退職金と考えると、確定拠出年金も退職金の1種と位置づけられます。
選択制DCとは、
①退職金を給与として前払いで受取るか、企業型DCに拠出するかを選択するタイプ
②給与の一部を「ライフプラン手当」等として再定義し、従来どおり給与として受取るか、企業型DCに拠出するかを選択するタイプ
等があります。
今回、導入予定としているものは、②であると考えられます。
退職金等を給与として受取る場合は、所得税・住民税・社会保険料の計算対象となります。
企業型DCに拠出する場合は、給与とは見なされず、その全額が計算対象外となるので、結果として所得税・住民税・社会保険料が軽減されます。(企業が負担する社会保険料も軽減されます)
税金や社会保険料の負担軽減は選択制DCの大きなメリットです。
しかし、厚生年金保険料の等級が下がる場合には将来受取る老齢厚生年金等が減少することがあります。また、選択制DCを導入する際に、給与を減額する場合には、一時金や割増賃金(残業代)にも影響を及ぼす可能性もあります。さらに、いったん企業型DCを選択すると、原則として、途中で拠出を中断することができません。
確定拠出年金(DC)では60歳未満での引き出しが厳しく制限されています。60歳まで鍵がかかった貯金箱というイメージでしょうか。
(加入者期間が10年に満たない場合は支給開始年齢が引き伸ばされます。)
一般的な退職金のリスクは、勤務先の企業が倒産して、支払いを受けられなくなることです。
これに対し、確定拠出年金の場合のリスクは、職員が運用を選択して失敗した場合は、受けとるべき退職金の額が少なくなってしまうことが主なリスクとなります。職員への支給額が確定しておらず、運用方法は各職員の判断に委ねられており、たとえ運用利回りが想定利回りを下回っても、企業に補填義務はありません。
選択制確定拠出年金制度の導入運営において、企業側はできるだけ負担が少なくなる方法を考えがちになるとされています。
近年、従来の退職金制度を廃止して、確定拠出年金型の退職金制度を導入する企業が増えています。
退職金は、就業規則(退職金規程等)でその支給条件等が定められている場合は、労働基準法11条の「賃金」に該当する極めて重要な「労働条件」の1つです。
したがって、退職金の廃止・減額は「労働条件の変更(不利益変更)」となります。
労働条件の不利益変更は無条件に認められるものではなく、企業経営上必要不可欠であるという「合理的理由」と、変更した場合に従業員が受ける不利益を変更の必要性が上回るという「高度の必要性」が求められます。
具体的には、(1)企業側における変更の必要性の内容と程度、(2)従業員の受ける不利益の程度、(3)変更後の就業規則の内容の相当性、(4)代替措置などその他関連する他の労働条件の改善状況、(5)労働組合等との交渉の状況等を総合的に勘案したうえで、不利益変更の合理性を判断することになります。
さて、企業型確定拠出年金(DC)の導入についてですが、
確定拠出年金法第43条には
事業主の行為準則が明記されています。
当該法令解釈において、
運営管理機関等を選任する際や、投資教育を委託する場合は、加入者の利益のみを考慮し、適切に行わなければならないとしています。
ライフプラン支援制度がはじまる前に説明会が設定されています。
(給与課によると、金融機関による説明会とのことです。)
そもそも、なぜライフプラン支援制度を導入するに至ったのか、導入することを決定するまでの経緯について、私たち労働者は、病院から一切説明を受けていません。
制度の導入決定にあたっては、労使交渉が必要とされています。