『W旦那+(プラス)』 TAKAOMI⑬ 三代目妄想劇場ショートストーリー
2018.07.29 09:30
隆二を抱きかかえて先に車に乗せた後、臣が苦しげに言った。
「なんで俺達がこんな目に…」
言い終わらないうちに唇を噛みしめた。
すぐ隣にいた健二郎が臣の肩に手を置いた。
「気持ちは痛いほどわかるけど、今は臣ちゃんがしっかりせなアカンで」
「健ちゃん…わかってるよ」
臣は車に乗り隆二の隣に座ると、拳で目元を拭った。
「臣ちゃん…」
臣と隆二を乗せた車を見送り。健二郎は思った。
ー臣ちゃん…泣きたくなるよな。
わかるよ。
俺達も辛い…
(回想)
『健ちゃん、しゅきぃ♪』
ーたっくん…
昨日のことやのに、なんでや?
ー神でも仏でもどっちでもええから、
俺らの大切な子供を守ってくれ‼
ー…お願いや…
空を見上げ目を閉じた健二郎の顔に、雨が容赦なく叩きつけた。
つづく