歓迎される工場見学。
Twitter改めXのタイムラインでブランド様の工場視察に対する工場側のマインドを問う投稿が目に入ったため、リポストした上で自分の経験による見解を述べた。
コロナ明け、人々の往来が活発になり、為替の影響もあり国内工場回帰ムードも手伝って、コロナで自粛されていた現場視察も増えてくる。
普段、製造現場が人目に触れる機会はあまりないため、お客様が工場を訪問することで、工場側からは工程数や技術的な側面だったり、ブランド側からはエンドユーザーが気にするポイントの説明などの相互理解につながり、以降コミニュケーションを円滑に進めていく上で工場視察は非常に効果的である。
既存取引先で、通年商売がある先であれば、基本的に工場見学や視察は歓迎されている場合が多い。常に案件が流れているので打ち合わせることもあるだろうから、断る理由もない。
言うまでもないが、人間関係が良好で好意的な相手であればなおさら歓迎される。
とはいえ、親しき仲にも礼儀あり。現場はタイムイズマネーが物理的に発生しているところなので、時期や時間などは訪問する際に気をつかうべきポイントだ。そういうところも配慮があれば一層関係は良好になる。
直接的に仕事を依頼しているわけでもなく、かつ案件を持ち合わせない連れを案内する場合などは手土産も忘れてはいけないけれど、上述のポストように、初対面の偉いさんが手土産渡そうとしてるのに「こんなもんいらんから注文(発注)くれよ」と言い放ってしまい、周囲のとりまきを硬直させてしまうほどに強烈なキャラもたまに存在するので、いかに普段の関係構築が重要かご理解いただけるはずだ。
実際、この時の工場視察は某大手アパレルメーカー御一行を仲の良い取引先の社長様に頼まれてアテンドした際の出来事である。そしてこの工場視察はおそらく工場視察としては『あるある』の歓迎されないタイプのやつだった。どんなだったかは下記記事をご参照いただきたい。
この時はカットソーにおける原材料から服になるまでの一連をなぞるものだったので、糸作りから編み立て染色、裁断縫製、二次加工までを全てご案内した。
大所帯のため各工場様の人手もお借りして、いくつかの班に別れてご案内だったので、当時ご案内いただいた各社ご担当の面々並びに作業風景を理解しやすくするために機械をゆっくり回して解説してくださった現場の工員様方々には感謝しかない。その節は本当にありがとうございました。
相互理解のために行われる工場視察だったのに、なぜ歓迎されなかったか。
・訪問する工場内容を把握しているのに案件や質問を持ち合わせていない。
・ただの研修旅行になっている人もいて工場の方の説明を全く聞いていない。
・話を聞いてないどころか工場内で「聞こえねぇよwww」などのヤジが出だす。
・最終的に仕事につながらなかった。(これは商品や担当同士の相性もあるので仕方ない部分ではある)
・話を聞いてなかったので結局製造に対する理解が皆無。
大手ほどこんなもんかもしれない。大昔の飲ませ食わせでわっしょいオーダーざっくざくの時代のクセみたいなもんがあるのかなんか知らんけど、自分たちは歓迎されおもてなしを受けて当然みたいな態度が常にあったのは強烈におぼえている。
もちろん工場視察を真面目にきちんと取り組み前提で考えて動ける人は存在している。だから皆が皆この大手のように腐ったみかんではないだろう。
なので初めての工場視察を希望する方々はどうか、このような悪しき轍を踏まないように気をつけてもらいたい。
行ってみなければわからないこともあるし、興味本位の芽を摘んでしまってはいけないとも思うので、依頼案件がなくても工場訪問希望者を門前払いすることはない。最近は工場様側も自発的発信を多くされているのでウェルカムな姿勢のところも多い。
何より僕自身が現場に入るのが好きなので工場訪問に関しては前のめりだ。
願わくば双方にとって工場視察が良い関係構築のきっかけになるよう、参考になれば幸いである。