ロンドン留学記:アカデミックライティングの資料収集・評価
おはようございます。理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。
今日は、アカデミックライティングに関して、大学院のコースに入る前に求められる内容に関して書きます。
今、アカデミックなエッセーを書くというのが主要な課題の一つです。
おそらくこの内容は、ネイティブスピーカーの学生は学部生(大学1年から4年)の間に求められることだと思います。
エッセーを書くために根拠となる資料を探すことを求められます。その際に、資料の『質』を評価しなければいけません。 医学論文に関しては、質を評価するためのクライテリアがいくつかあります。しかし、このコースは幅広い選考の生徒がいるため、もう少し全般的な分野で求められる資料の評価の仕方、エッセーの書き方を学んでいます。
資料の質を評価することは、「いかに資料を『捨てる』か?」にも繋がります。資料の『捨て方』に関しても繰り返し重要性を言われます。なぜかというと、担任の言葉を借りると『修士のコースでは、膨大な量の資料の読み込みが求められます。いかに必要な情報を素早くピックアップして、必要ない情報を「読まない」ようにするかは超重要です!!』とのことです。『資料の内容は、全部はわかんなくてもいいです。とにかく必要な情報を素早くピックアップできるようになりなさい。』と言われます。この辺りのことは大学時代にあまり習わなかった気がします(私が授業中寝ていたから聞き逃したのだったらすみません((+_+)))。
資料の評価は基本的に『5W1H』で行います。
- What:どんな内容の情報が含まれているか?自分の書くトピックと関連はあるか?
- When:いつ書かれたものか?分野によって、5年以内ならいいとか、10年以内ならいいとか色々ありそうです。歴史を踏まえながら(治療法の変遷など)書く場合は古い資料が含まれていても構いません。
- Where:どこで発表されたか?当然個人のブログなどは評価が低くなります。査読付きの科学雑誌などの評価は高いです。政府のホームページなども情報の正確性という点では評価が高いですが、政府を含めたあらゆる団体は何らかの主義・主張があるので、それを考慮しなさい(反対意見に関しても資料を集めなさい)と言われました。 授業を聴いていて面白いなと思ったのは、「『エコノミスト』は質の高い記者がデータに基づいて書くから資料として考慮してもいい。ただ、エコノミストは右寄りだから、その点は考慮するように」とのこと。欧米の一流経済紙でも各媒体によってポジションがあるんだな~と思いました。(まぁ、ジャーナリズムだし、ポジションはあって当然かと変に納得しましたが)。
- Who:誰が書いたか?また、URLの見方というか『gov』とか『org』と『edu』みたいなものは一定の信頼をおいて良いみたいな論調です。
- Why:何を目的に書かれたか?
- How:どのような方法で実験が行われたか?
面白いな~と思ったのは、
『誰が書いたか?』ということを非常に重視するんです。
どこかの大学に所属しているとか、今までにどんな論文をどの位たくさん書いてきているのかとか。ここがしっかりしていないと『まぁ~、これは読まなくていいかな』って感じの扱いになります。ただ、この考え方だと、キャリアの浅い研究者が書いた質の高い論文はピックアップされないことになりますが。。。。分野によってはこういうこともありなのかも知れないと思いました(;’∀’)。
複数の情報源から資料を集めなさいと強調されます。
ある学生が中国政府のホームページから統計資料を多く引用していました。それに対して『中国政府と反対の立場の団体の資料も反映させるように』という指示が出ていました。これもエッセーの客観性を高めるための戦略としては必要だなと思いました。
私のクラスメートは法学専攻予定の生徒が多いので、文系です。文系対理系、このような分類が意味を成すのかはわかりませんが・・・(私は、最も論理的な受験科目は現代文だと思っているし)。文系の学生でもこういった形の練習をしっかりこなすのは、サイエンスリテラシーを高めるのに非常に有効だと思いました。
正直、優秀な社会人はこの位のレベルのことは意識的・無意識的にやっていると思いますが。。。。ただ、若いうちから意識して身につけることは大切だろうと思います。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
理学療法士 倉形裕史