【事例編】地中熱導入で一次エネ消費量49%削減した都心のビル~一番町笹田ビル
皇居からほど近い半蔵門界隈に都内でもかなり早い段階で地中熱ヒートポンプシステムを導入したビルがあります。それが「一番町笹田ビル」です。
◆2008年の空調機器更新で「地中熱」を導入
1990年に竣工した一番町笹田ビルは事務所・テナントビルで、2008年11月に空調機器の更新に合わせて地中熱ヒートポンプによる冷暖房システムを導入しています。
◆乗用車2台分の駐車場スペースに熱交換井8本を埋設し、ビル1階~3階の冷暖房に
熱交換方式はクローズドループを採用。クローズドループ方式は、地中から熱を取り出すために高密度ポリエチレン管(水道管等に使われているもの)等の地中熱交換器内に水や不凍液などの流体を循環させ、地中の熱だけをくみ上げるものです。汲み上げた熱をヒートポンプで必要な温度領域の熱に変換し、冷暖房や給湯などに利用します。一番町笹田ビルでは、このクローズドループによる熱交換用に深さ75mの井戸(ボアホール)を8本を埋設。ハイブリッド型空水冷ヒートポンプ(定格能力:冷房58kW、暖房65kW、定格消費電力:冷房10kW、暖房12.52kW)で5階建てビルの1階から3階(延べ303㎡)の冷暖房を行っています。
以前使用していた空気熱源システムの一次エネルギー消費量(2005年~2007年の平均)と比較すると、年間約49%削減となるなど高い省エネ効果が出ています。
ちなみに熱交換用の井戸8本が設置されているスペースは乗用車2台分の駐車場スペースに設置されています。
◆見学や取材で訪れる人が絶えない有名な地中熱導入ビル
運転開始以来継続してモニターを実施し、雑誌、学会等で発表されています。また、見学会などを通じて数多くの人々が同ビルのシステムの見学に訪れているほか、二ュースウォッチ9、WBSなどテレビ番組でも紹介されるなど地中熱設備導入ビルとしてはとても著名な建物です。
※一番町笹田ビルの情報はNPO法人地中熱利用促進協会ホームページ内の利用実績ページ(http://www.geohpaj.org/wp/wp-content/uploads/achievement_02.pdf)で紹介されていますので、ご参照ください。
※また、ビルの地中熱システムについて、同ビル・オーナーの笹田政克氏が取材を受けた動画が「YouTube」にアップされていますので、さらに詳細な状況はこちらを参照してみてください。☟