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マヤ

『W旦那+(プラス)』 TAKAOMI⑭ 三代目妄想劇場ショートストーリー

2018.07.30 08:35

マンションに帰り服を着替えさせベッドに寝かせると、隆二は荒い息を吐いた。



「おみ…」




「すごい熱だ…無茶しやがって…」




「おみ…俺のことはいいから、早く…

たっくんを探して…」




「隆二…」




「まだ…知らない人についてっちゃ

いけないなんて…教えてない…」




「……」




「おみ?」




「みんな必死に動いてくれてるから」




「どこかでうずくまって泣いてるかもしれないんだ…」




「早く探して…」




「こんな状態で…ほっとけるかよ!」




「…おみ?」




「泣いてんの?」




隆二が臣の頬に手を当てた。




「泣いてる場合じゃないだろ?…早く…」




隆二はガタガタと震えている。




「少し黙ってろ…あっためるぞ」




臣は隆二の上着を取り、自分も上半身ハダカになって、布団の中に入ってきた。




「…⁉︎」




「バカ…たっくんが行方不明って時に…なにやってんだ?」




隆二が弱々しく臣を引き離そうとした。




「黙れ‼︎俺には隆臣もお前も大切なんだ!」




グッと隆二を引き寄せ、強く抱きしめた。






「おみのバカ…」





「…あったかい」





うわ言のように隆二が呟いた。





「たっくん……早く帰っておいで…」





二人で抱き合いながら、涙が止まらなかった。






隆二の荒い呼吸もおさまり眠ったので、水を用意しておこうと臣はキッチンへ行き冷蔵庫を開けた。




中央のチルド室に昨日買った大粒のイチゴがそのまま並んでいる。




「隆臣…」





(回想)


『おとーしゃん、イチゴは?』





『ん?帰ってからな』





『はぁーい♫』








バン‼︎…




冷蔵庫の扉を閉めて、臣はその場に泣き崩れた。





「誰か…お願いだから…助けてくれよ…」






つづく