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天竜楽市

印雑131 龍川横山町 月下に薫る天龍の華

2018.07.30 13:11

 日本中に根強いファンを持つ龍川横山町の印雑131

 天竜区横山町、清流横山川と天竜川を見下ろす南面した傾斜地にある畑は、緑泥片岩(天竜青石)から流れ出す豊富なミネラルに恵まれた土壌、天竜川の霧がかかり陽当たりも風の通りも良く、近隣の畑の中でも霜害を受けにくく、四月中に摘採される印雑131は例年最も早く出回る天竜産初摘み新茶となっています。

 横山町といえば、このバスを筏船に載せて天竜川を渡る写真が有名です。
 峰之沢鉱山は戦後に最盛期を迎え、龍川村、龍山村合わせて二万人近い人が天竜川両岸の急峻な傾斜地、限られた可住地にひしめくように暮していました。
 戦前は最新の高速飛行艇が華麗に水上を走る時代もありましたが、戦後急激に進んだモータリゼーションの波にインフラが追い付かず、非常にクールなバスを筏に載せて河を渡るシーンが見られた時代がありました。

 透明な水流を湛える横山川(天竜川支流)

 天竜川中流域には河の流れとほぼ並行するように赤石裂線と呼ばれる断層があり、西側はジュラ紀に形成された三波川帯、東側は白亜紀から第三紀にかけて形成された、やや新しい地層の四万十帯に属しています。 

 天竜川西岸の阿多古・熊・龍川地区の地層は三波川帯の基盤岩である結晶片岩、中でも「天竜青石」と呼ばれる「緑泥片岩」を多く含んでいます。 

 緑泥片岩は苦土(マグネシウム)、石灰(炭酸カルシウム)を豊富に含み、茶の香気成分にも良い影響を及ぼすのだそうです。

  茶の品質は、茶園の土壌に最も大きな影響を受け、また、地質は古いほど養分となる要素が多くなるようです。

 年に一度の横山八幡神社祭典は今も賑やか。

静岡県浜松市天竜区横山町 
2018年産 天竜煎茶 浅蒸し 
印雑131 初摘みシングルオリジン

  
 印雑と称される系統は、明治初期に日本紅茶の父である多田元吉がアッサムから導入したいわゆる「多田印雑」の系統の他に、大正11年に静岡県農業試験場茶業部の丸尾文雄技師が導入したマニプリ種から派生した系統があります。 

 昭和19年に、その中のマニプリ15の自然実生から、紅茶用としてではなく緑茶用として特異な品質を示すことで選抜された品種が独特な薫りと強い味を持つ「印雑131」なのです。 

 その強烈な個性から登録品種には至らなかった「印雑131」ですが、その稀に見る個性に惹かれた多くのファンを生み、一部マニアックに熱烈に支持されながら現在も極少量が生産されています。

淡麗----★-濃厚 
甘味☆☆☆☆ 
旨味☆☆☆ 
苦味☆☆☆☆ 
渋味☆☆☆☆ 
香気☆☆☆☆☆☆ 

 
 3g・60ml・70℃・1分、甘くワイルドな蘭の香り。程良い甘味と旨味があり苦渋味は控え目、飲み口はコクがあり重厚。 湯温を90℃に上げると、香りはやや刺激的になり、ほろ苦味、渋味が出て重厚感も増す。二煎目を熱湯で淹れると、口当りからしっかりとした甘味。

  3g・20ml・40℃・3分、甘く香ばしい力強い香り、口当りはまろやかな甘味と旨味、続いて苦渋味が広がった後、甘味と酸味の余韻が残る。 

 淹れ方でかなり印象が変ってくるお茶です。薫りは唯一無二、この品種が持つ強烈な個性で、万人受けはしないものの代え難い魅力を放っています。香りも味も複雑で変幻自在。力強さと重厚さを持った特異な日本茶です。 

 水出しでも甘味と旨味、濃厚な味わい深さが出て来ます。

静岡県浜松市天竜区横山町 
2018年産 天竜煎茶 浅蒸し 
印雑131 夏摘みシングルオリジン 

  
 「月の茶工場」で製茶、仕上げされた夏摘み天竜茶「印雑131」  天竜区龍川地区の茶工場は「月まで3km」の看板がTV番組「ナニコレ珍百景」に取り上げられて話題になった浜松市天竜区月にあります。 

 今では浜松市の観光スポットとしてInstagramにもしばしば投稿されています。 

 日本茶好きなら一度は飲んでみたい「印雑131」の夏茶を手頃な価格で提供致します。

淡麗---★--濃厚 
甘味☆☆☆☆ 
旨味☆☆ 
苦味☆☆☆☆ 
渋味☆☆☆☆ 
香気☆☆☆☆☆ 

 
 熱湯で一分、甘い綿飴のような芳香が立ち上る。春の初摘みのような強烈な花香ではない分、万人受けするのではないか。 

 一煎目は苦味、渋味がしっかり出るので、香気も良く通好みの飲み応えのあるお茶である。飲み口は滑らかで、後味は苦味が残りながら質の高い甘味が広がってくる。 

 二煎目はまだ濃い口で苦渋味が後退し甘味が引き立ってくる。 

 低温で濃いめに淹れると、茶葉からは花香と甘い香水のような薫りが漂う。

  月下に薫る天龍の華「印雑131」夏摘み茶は、初摘みのような強烈な個性が薄まっている分、苦味と渋味がしっかりあるお茶を求める層に広く受け入れられるのではないでしょうか? 人気の高い極希少種「印雑131」の入門編としても広くオススメ出来ます。

 マニア垂涎の印雑131を是非この機会にお求め下さい。 

 「印雑131」については、ノンフィクション作家の飯田辰彦氏が一冊の本にしています。
 印雑に情熱を傾けた生産家のエピソードが載せられており、この特異なお茶の魅力が余すところなく描かれています。
 この本の中に、天竜区横山町の「印雑131」生産家平賀義行さんと同茶園、緑泥片岩の石垣、力強い印雑131の秋芽の写真が載っています。
 天竜茶は味が強く出ることで有名で、印雑はくどくなりすぎるのではないか…という平賀さんの懸念を他所に、不思議と『旨い』といって固定客がつき、周りが根抜きするなかでずっとファンに支えられ作り続けてられてきた龍川横山町の印雑131。
 個性的な日本茶が求められる今の時代にこそ、薫り高く輝くのではないでしょうか?