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生涯の美と健康のパートナー ゆえりゃん

婦人保護施設での「笑顔を引き出すフェイシャルケア」

2023.08.15 00:34

婦人保護施設をご存知ですか?


もともとは売春防止法により、売春を行う恐れのある女性を収容保護する施設でした。

しかし、現在では、家庭環境の破錠や生活の困窮など様々な事情により社会生活を営むうえで困難な問題を抱えている女性も保護の対象です。

また、最近では、DV防止法により、家族やパートナーによるDVにより入所される方も増えています。


わたしはDV被害者の支援をしたいという想いから日本エステティック協会が主催するソシオエステティック養成講座を受講し、現在、婦人保護施設でソシオエステティックのインターンシップをさせていただいています。


ソシオエステティックとは、社会的に困難を抱えていらっしゃる方を癒し、励まし、QOL(生活の質)を高めるためのエステティックです。

そのため、エステティックの施術はアプローチのための手段にすぎません。


婦人保護施設では、主に困難を克服して社会復帰される方を支援していきます。


ソシオエステティックの内容は、フェイシャルケア、メイク、ハンドケア、ネイル、フットケアの中から、その対象者に合った施術を選択いたします。


売春や性被害を受けられた方は、自分を汚い存在だと感じたり、自分を大切にしなくなる傾向が強いと報告されています。

また、DV被害を受けられた方は、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)など様々な心身への影響が報告されています。

自己肯定感が低くなり、自分に自信が持てなくなったり、主体性がなくなったりするケースが多く見られます。


そのため、スキンケアなどでお肌のお手入れをすれば「大切にされている」と感じることができたり、女性としての尊厳を取り戻すことができるのではないか

メイクでその方のキレイを引き出せば、自己イメージを高め自信を取り戻したり、前向きな気持ちになることができるのではないかと考えています。


実際に、母子生活支援施設でソシオエステティシャンが日常的に身だしなみを整えるのがむずかしい状態にある女性にフェイシャルを定期的に行ったところ、清潔に保つことの心地よさに気づき、身だしなみに気を配るようになり、ついには社会復帰ができたという報告もあります。


初めは、施設のスタッフの方々も「エステがどうやってQOL(生活の質)を高めることができるのだろう?」と半信半疑だったかもしれません。

また、ご利用者様も「無料でエステのサービスが受けられる。」ぐらいにしか思っていらっしゃらなかったかもしれません。


初めてインターンシップで伺ったとき、「エステといえばフェイシャル」と思われたのか、みなさんフェイシャルの施術の後にメイクをして欲しいとのご依頼を受けました。


しかし、わたしはただ施術をするということはしません。

特に、退所を控えて自立支援を目的にしている方には、積極的にレッスン形式でアドバイスしながら施術します。


わたしは、「顔は心と身体の状態を映し出す鏡」だと考えています。

顔に関心を持っていただき、お手入れすることは、自分を大切にし愛しむことに通じると考えています。


誰からも教わったことがなくてお手入れしたことがない方には、スキンケアやメイクの仕方を説明を交えながら施術をします。


自己流でお手入れしていらっしゃる方には、クレンジングや化粧水の付け方などいつものスキンケア方法を再現してもらいながら、正しいコットンの使い方や手の圧や方向などをアドバイスします。


メイクではファンデーションを半顔、ご自分で付けていただいたり、アイブロウペンシルを持って眉の描き方をレッスンしたりします。


ご自分でも体験していただくことで、より、ご自分の顔に関心を持っていただけるように感じます。


多くの方がご自分の顔に関心がなかったり、諦めや決めつけを持っていらっしゃるように感じますが、鏡の中でどんどんと変化していくご自分を見て驚き、思わず「うわぁ。」と歓声をあげたり、「わたしじゃないみたい。」「この顔、好き。」などとつぶやいていた方もいらっしゃいました。


始めはうつむいていたけど施術が終わるころには顔を上げ、鏡を覗き込んでまじまじとご自分の顔を見ていらっしゃる方もいらっしゃいました。


しっかりとスキンケアした後にメイクをするとどどなたも表情がパァーっと明るく変化し、心からの笑顔が引き出されます。


また、キレイになると嬉しくなり、心が弾んでおしゃべりになるのを感じます。


スキンケアやメイクに関することから始まり、お肌や爪のお悩み、仕事で起こったこと、施設での生活のことなど‥


施設のスタッフには話しにくいことも、他人だから話せることもあり、お話くださります。

(もちろん、個人情報は決して公開することはないため、安心してお話いただけます。)


わたしも経験がありますが、感動すると心が軽やかになり、他人と共有したくなる感覚ってありませんか?

美しい景色を見たとき、美味しい料理を食べたとき‥

誰かに伝えたいと思う感じと似ている気がします。


そしてキレイになると、誰かに見せたくなり、施術を受けられた方はみなさん、施設のスタッフの方に見せに行かれます。


施設のスタッフの方の中には、普段、メイクをしていなかったけど、「メイクって大切だな。」と思って、最近、メイクを始めたなんて方もいらっしゃいました。


ひとりのキレイが周りを幸せな気分にする「キレイの連鎖」が起こっています。



わたしは、もともと大手化粧品メーカーのフェイシャルサロンに11年間、勤務していました。

当時は、フェイシャルエステの後に、サービスでメイクをして差し上げていました。


わたし自身、ひどいニキビ肌で外にも出たくなくなるような経験があり、それを救ってくれたのがメイクだったため、自分はもちろん、他人にもメイクをするのは好きでした。


社内のメイクの講習会に出席したり、メイクコンテストに参加したこともありました。


しかし、美容師ではないため、メイクの技術料はいただけない、そのうえ、サービスでメイクを受けておいてネットでそのメイク品を購入するお客様まで出てきて、次第にメイクするのが嫌になってきました。


ついには、化粧品だけでは本当にキレイにはなれないと限界を感じて退社し、独立してエステティックサロンを開業してからは長い間、メイクとは離れていました。


しかし、ここに来て改めてメイクの力を実感しています。


そのとき学んだメイクの技術が活かされる日が来るなんて‥

真面目にメイクをしてきて無駄ではなかったと感じています。


また、わたしをエステの道へ導いてくださったフェイシャルサロンのオーナーに感謝です。



まだまだ、ソシオエステティシャンになるには時間がかかりそうです。

しかし、わたしが想像していた以上に、ソシオエステティック世界は奥が深く、その可能性は無限大だと感じています。