日本語でのシステマティックレビューの作成&AIを使った論文の質評価①
おはようございます。理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職の一つです。
今日は、クラスメートとタイトルのような内容を話していていて思いついたことを書きます。
(今回の話には、多分に私の私見が混ざることをあらかじめご了承下さい。)
先日、Pre-sessional Englishコースのクラスメートと話していて、非常に面白いなと思うことがありました。全く違ったバックグランドの方と話すのは、新しいアイディアがもらえたりするので、大好きです。
ただ、アイディア自体には価値はありません。そもそも私が考え付く程度のことは、たくさんの方が思いつきます。アイディアではなく行動に価値がありますので、考えたことを書きます。
私は、日本語で質の高いシステマティックレビューを書いて、『PTジャーナル』とか『理学療法』とか『理学療法学』とか『OTジャーナル』に投稿したいです。
なぜかというと、これらの雑誌に『質の高い』システマティックレビューが載る可能性が非常に低いからです。
書き始めたら、長くなってしまったので、先に結論を書くと『書く人がいなそうだから、私が書いて、日本のリハビリの底上げに貢献したいです』という話です(;’∀’)。
話を始めます。。。
その理由として、
現状、質の高いシステマティックレビューを書けるリハ専門職の人材は限られています。例えば、大学院を修了して、その後も研究職をしているリハ専門職などがその人材にあたると思います。
しかし『彼ら』には、『日本語で』システマティックレビューなどの二次資料を作成するインセンティブがありません。彼らは『英語』で二次資料を作成して、『英語雑誌』に投稿したいはずです。。
上記で挙げた雑誌は、恐らく日本の理学療法士と作業療法士が、最も読むポピュラーな雑誌です。ですが、これらに論文やその他の記事を掲載させることは、「学術的」には意義はありません(もしかしたら、名前が売れて、講演に繋がるとかはあるかもしれませんが)。
なぜ、意義がないとまで言い切るかというと・・・、
例えば、将来、大学教授になりたくて大学などの研究施設で研究に励んでいるリハ専門職がいたとします。彼らは自分の『最も自信のある研究』を上記の雑誌に投稿したりしません。
理由としては、
雑誌の価値の指標として「インパクトファクター」というものがあります。(詳細は置いておいて、『ほ~、そういう基準があるんだ』位に思ってください)。
このポイントが高い雑誌にたくさんの論文を載せることが、研究職としての昇進や教授就任レースの大きな要件の一つです(他にも校内政治とかもあるんでしょうけど・・・)。
医学界のトップの雑誌は、『New England Journal of Medicine』です。この雑誌の2018年のインパクトファクターは「79.258」だそうです。ネットの記事(http://scienceandtechnology.jp/archives/13607)から拾ってきた数字なので正確かは分かりませんが、この位のスケール感(50とかは超えるけど100とかはいかない)なのでそのまま記載しました。
では、世界のトップがこの位ならば、日本のリハ専門職が、最も読む上記の雑誌はどのくらいのインパクトファクターがついているのか?
・・・・答えは『0』です。
採択された各論文の、単純なインパクトファクターの足し算で実績の良しあしが決まるわけではないと思いますが、上記の日本の雑誌に論文を何本載せても、研究職としての昇進や教授就任レースにおける価値はあまりないと思います。
ですので、若手の将来の教授候補はあまりPTジャーナルで記事を書きません。何回かは『学生時代から読んでいた雑誌に名前が載ったらうれしい』という感覚で書くかもしれませんが。。。。
実際に、PTジャーナルは、何年間も同じような執筆陣で記事を書き続けています。この分野の特集なら、大体このような執筆陣が書くだろうな~と予測できます。
追記
誤解しないで頂きたいのは、『PTジャーナル』などの批判がしたいわけではありません。科学的に見て、首を傾げたくなる内容の記事も散見されますが、毎月、一定以上の質と量の記事を揃えて、何十年も継続的に刊行していることは非常に凄いです。それに、多くのリハ専門職(講習会などに積極的に参加する意欲を失った人でも)は、『PTジャーナル位は一応おさえとかないとな~』とか考えてサラッとでも読んでいたりします。幅広い層に学習機会を提供し続けているPTジャーナルは偉大です。
追記終わり
長くなりましたので次回に続きます。
今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
理学療法士 倉形裕史