東海道江尻田子の浦略図 ーとうかいどうえじりたごのうらりゃくずー
2018.08.01 01:13
東海道江尻田子の浦略図 とうかいどうえじりたごのうらりゃくず
富士が最もよく見える場所といわれる静岡県田子の浦。
田子の浦 ゆうち出てみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける
(万葉集 山部赤人)
※田子の浦を通って視界の開けた場所まで出てみると
富士山の高いところに真っ白な雪が積もっているよ
という歌をそのまま表現したと言われている絵です。
四艘描かれているうちの二艘が 対称的な弧を描いています。
荒波に浮かぶ大きな船の上で 苦しそうに漕ぐ人夫たちの表情まで細かく描写されています。
きわどい場所で漕いでいるのが船頭なのでしょうか。
人々が働く美しい姿です。
海岸では塩焼きを楽しむ人たち。 ちいちゃなミクロの可愛らしい風景です。
大自然という舞台の中で 癒しの一幕、というところでしょうか。
生い茂る木々の葉は海外の画家も真似た北斎タッチ。
つねきちもきちんと描いていますよ。
富士の高嶺に降りける雪。 絵はがき等で見かけるようなはっきりした鹿の子模様です。
冨嶽三十六景の最初は有名な神奈川沖浪浦。
そして三十六枚目になるのが、この東海道江尻田子の浦略図。
江尻=絵尻 絵の最後、という意味です。
絵の題・二艘の船・そして不動の富士と動き続ける人々。
絶妙な語呂合わせで整えられた
北斎の世界もまた
揺るがない不動のもの。
そしてその文化を現世に伝え 動きをもたらす 模写器(もしゃうつわ)つねきち。
締めの絵とはいえ この後、北斎は追加の十枚を描いています。 そしてつねきちも まだまだ続けます。
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