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海へ行った話

2018.08.01 07:24

久しく更新するのが恒例になってしまいました。

前回更新したのは初夏で、ZINEのことなどについて書きました。

まだ涼しかった頃が懐かしいくらい、今では暑さにうだる日々です。


わたしの住むアパートからは海が見えるのですが、五島や伊王島行きのフェリーなどが毎日往来しています。

こうも暑く、目の前に白線が伸びる海を見ていると飛び込みたくてしょうがありません。


海、海、海、海!


ぬくまって思考力が低下する脳はもう海のことしか考えられなくなりました。


わたしがこうも海海と連呼するので、見かねた恋人は海へ行く都合を合わせてくれました。

行き先は西海市にある柳ノ浜海水浴場です。

子どもの頃に行ったきりでしたが、遠浅の浜で遊んだ記憶は鮮明に残っています。


恋人の運転する青い車に乗って海沿いの道を進みます。

途中式見でかまぼこを買うなど寄り道をしながら、到着したのは11時ごろ。


ちょうど満潮の時間だったらしく、遠浅の浜は見えません。

しかも海水浴客どころか歩いている人も見当たらないではないですか。


おそるおそる「まさご荘」の看板がかかる桟敷の横を通過すると、あたりはローピングされ立ち入り禁止の文字が。


そ、そんな・・・思い出の場所は時が経てばこうも荒れ果て、海に沈んでしまうものなのか・・・いや後半は単に満潮なだけなんだろうけど、綺麗に整備されたスロープが虚しく海に続く様がまるで、ダムに沈んだまちのようで少し悲しくなりました。


恋人はきっとこのあいだの台風で閉鎖してるんだよ、と慰めてくれましたが、調べてみると2日前の長崎新聞の記事に、桟敷を運営していた例のまさご荘がメンバーの高齢化、客の減少、桟敷の老朽化を理由に営業できなくなったため、海水浴場を閉鎖したとありました。


それまで嬉々として買ったばかりの水着とサンダルとバッグを身につけ、今にも横目に広がる海に飛び込まんとしていたわたしが、すっかり口数少なくなってしまったので恋人が付近の海水浴場へ行くことを提案してくれました。


感情の起伏が激しいわたしへいつも冷静に手を伸ばしてくれる恋人の優しさに何度救われてきたことか・・・車中でしみじみとなり心で泣きました。



次なる候補地は尻久砂里海浜公園です。

面白い名前ですが、浜に尻が腐るほど居座りたくなるほど海が綺麗ということでついた名前だそう。ここは家族とも何度も訪れたことがあり、2年前に初めて恋人と海に行った時も泳いだ場所であります。

透明度が高く、地上から見ると宝石のように美しく、水中では驚くほど青く透き通った世界が広がっています。



世間の恋人たちが海ですることというものを私はよく知りませんが、我々は浜で砂の城を作ることもなく走り回って戯れることもなく、ひたすら岩場を目指し、そこでしばし水中観察をおこないます。


家族連れが遊ぶ砂地にはあまり魚は見られませんが、岩場には大小さまざまな魚が岩をつついたり、群れをなして移動したり、付着した貝殻に身を潜めたりしています。

小さなフグやカワハギの仲間、名前はわかりませんが熱帯魚のようなカラフルな魚も見かけました。


ひとしきり観察が終わると陣地に戻り、恋人が持ってきたカップヌードルのシーフードとトムヤムヌードルを分け合います。自然の中で食べるカップヌードルはなんと至福の味でしょう。案外水につかっていると体も冷えるもので、温かい食べ物が沁みわたります。


休憩が済むと再び岩場へ。今度は陣地側の岩場ですがこちらには棘の長いガンガゼがたくさんいました。恋人はイシダイを見たと教えてくれました。

あとで調べて知ったのですが、長い棘に毒のあるガンガゼはイシダイが天敵で、棘を器用に引っ張ってひっくり返され、食べられてしまうんだとか。

生態系がちゃんとあるんだから面白いです。


そのあとも順調に観察を続け、小魚の大群や細長い魚などを見て3時間ほど滞在しました。

海から上がって、シャワー室へ向かうまでの浜やアスファルトの日に焼けた尋常でない熱さは耐えがたく、またすぐにでも海に浸かりたいほどでした。


子どもの頃からよく遊びに行っていた海ですが、自分は本当に海が好きみたいで、その好きというのもダイバーを目指したりとか釣りしたりとかそこまでではないけど、身を預けられる心の拠り所的な、そんな場所のように思います。


浮き輪も何もない状態でただ浮かんでいるだけで幸せを感じる気がします。

外界の音は何も聞こえなくて、呼吸と体の動く音だけを聞きながらただようだけで、生きていることを実感するのです。

でも何気ない瞬間に足に痛みを感じて、虫刺されのように腫れたり、急に深くなったところの水がとても冷たかったりするのを感じたら、普段以上に自然の存在を意識し畏怖するのです。


そしてまた海へ行きたくなるのです。


まあその時はまた、暑さに耐えかねてのことかもしれませんが。


平成最後の7月はこのようにして終わりました。

まだまだ続く夏、熱中症に気をつけながら過ごしたいものです。


つづく。