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模写絵師つね吉八卦鏡

相州梅沢庄 ーそうしゅううめざわのしょうー

2018.08.02 02:07

梅沢庄は大磯と小田原の間にある 人馬の休息所でした。 

 人がいない富士と丹頂鶴だけの世界は 当時、お正月の売り出し用であったと言われています。

  「寿」

と、題をつけたくなりそうなワンシーン。

どことなく逞しい雰囲気の鶴の群れです。

ぽってりとした豊潤な富士がいます。

つねきち技法

”塗りぼかし”がきいています。

塗り込みがさらに丁寧になりました。

じょうずに描いてね、と言ったことはありません。

いえ、じょうずではなく、うまい。

味がしみてきた、というところでしょう。

清廉というよりは豪胆な雰囲気のつねきち流丹頂鶴。

朝ぼらけ 青富士に二羽の 丹頂鶴

(by つねまま)


類稀なる才能を持ちながら、「お正月用のデザイン」という大衆の要望にもしっかり応え、描き続けた北斎。 

 厳しい人の世で逞しく生きることは 必要とされること。

 人々に認めて貰えてこそ、生かされる。 そんな方程式も北斎は教えてくれます。  

そして、つねきち流のふっくらとした着色は お腹いっぱいで年を越し、不自由のない一年がやってくる証です。

 きっと生かされる年になることでしょう。