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GARAGE FLOW

ハンダ施工なら どれも同じ?

2023.08.04 10:00

当店では、カーセキュリティなどの施工で 半田付け施工を行うことがほとんどです。


お客様も ディーラーやカー用品店の施工はエレクトロタップ、プロショップでは半田付けという認識をお持ちの方が多いのですが、実際は ハンダインストールを謳っているショップでも 出来栄えに雲泥の差があるというのが正直なところです。



以前から、半田付けの良し悪しについて 当店HPで紹介しようと思っていたのですが、しっかり記事にすると膨大な量になってしまうので、今回は簡易版として ほんの一部だけ ご紹介します。



お客様の依頼を受けて、他店で施工された既設カーセキュリティを取り外していたところ、半田付け部分に違和感がある。





結線部分の半田をニッパーで切ると、接続していた線がバラバラに崩壊する。





上の写真で 緑色の配線が2本あり、右側は 後付け配線を撤去した後。

左側は まだ後付けのセキュリティ配線がつながっています。






左側の線も 一見 半田付けがされているように見えますが。。。





ちょっとニッパーで切ると、純正配線と後付け配線が 全然ハンダ付けされていない。






車両側の純正配線は ハンダの銀色ではなく、銅線の色のままになっています。

要するに、表面上だけ 半田がついていたけれど ハンダが全然染みておらず「双方の配線が ただ触れていた」というだけ。


これが、他店で施工されたハンダインストール です。

お客様が買ったばかりの中古車についていた既設セキュリティなので、どこのお店で施工したかはわかりません。

ただ一つ言えることは、こういうハンダ施工は珍しいことではなく よく見かけます。



************** ここまで、全て当店の施工ではありません **************




では、ハンダ施工の仕方が どう違うのかを見ていきます。



参考例として、突き合わせ結線(上) と 並行付け結線(下) のサンプルを用意しました。


上下共に、ハンダ付けする前の状態でも 配線同士が面と面でしっかり接触しています。

細かいことを言えば、流れる電流量に対して 電線の断面積が小さすぎると配線が熱を持ったり 溶断されることもあります。

あまり神経質になる必要はありませんが、感覚的にでも 配線の太さや断面積くらいは念頭においておかないと、車両火災などの重大事故に発展しかねません。






半田付けというと、ハンダ量にを気にされる方が多いので、サンプルでは 上の配線はハンダを少なめに、下の配線は少しだけ多めにハンダ付けしました。

といっても ハンダ量はどちらも許容範囲で、インストーラーによって 上下の好みが分かれる程度です。






表面上のハンダ量より重要なことは中身です。


半田付け施工のやり方を説く書籍やHPは多数ありますが「結局は中身が大事」で、どの指南書も それを表面上から見てわかるように説明しているに過ぎません。

それをお見せする為、半田付けした配線を ニッパーで切断してみます。







ニッパーで切った それぞれの配線の切断面がこちら。

一番左と 左から2番目が付き合わせ配線(上)、3番目が並行付け結線(下)、一番右が 並行付け結線(下)の切り落としです。


どの切断面も ハンダが染み渡って 配線一本一本の区別がなく1つの塊になっているのがわかります。

これが「ハンダが染み渡っている状態」で、非常に強固です。

当店で行うハンダインストールは 概ね この状態になっているはずです。(いちいち切断しないので絶対とは言いませんが)


そして 断面から中身(本質)を覗くと、表面上のハンダの量は それほど重要でないことがよくわかります。






ニッパーで切った切断面を削ってみました。


鈑金塗装業では ハンダ鈑金&研磨する工法がありますが、それと同じように ハンダが染み渡っていればヤスリやグラインダーで削れます。(もっとも、電気結線用ハンダと板金用ハンダは別物ですが) 






当店では「ハンダは溶接の一種」と考えておりますし、実際 それが本筋です。

溶接とは「2つ以上の物体を一体化させる工法」ですから、上っ面にハンダが乗っているだけでは 溶接の要件を満たせません。



言われてみれば当然のことですが、その当たり前のことさえできていない施工の方が圧倒的に多いのが実情です。

ユニットやセンサー類の据付はおろか、配線の取り回しや固定、さらには絶縁テープさえ巻いていない「純粋なハンダ付けのみ」でこれだけの差があります。



たまに「お宅のお店は 他店とどう違うの?」と聞かれますが、「一言で言い表せないくらい違う」というのが本音です。

難しい話は埒があかないので、ピンと来た方は メールフォーム からご連絡下さい。