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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

第7回十字軍9-ルイ9世敗北と枷鎖で捕虜

2018.08.03 03:41

マンスーラ砦に向かった先発隊は、待ち構えていたイスラムに壊滅させられた。この時に活躍したのが誰あろうすぐ後にマルムーク朝を開くバイバルスである。この結果は伝書鳩ですぐカイロに伝えられ、伝書鳩のない十字軍本隊が追いついたとき、ルイは「弟はどこじゃ」と聞いたとき「天国におわします」と答えたという。

王は「すべて神の御心じゃ」と言い、軍団を整えた。王は虐殺をするなと命令を出していたが、弟のやった虐殺はこのときには知らなかった。そしてカイロではスルタン、アル・サリが崩御し、軍の実権はマルムークが握ったのである。

十字軍に疫病という新たな敵が襲いかかった。地元兵には免疫バッチリ。ルイも病に冒され、マルムークに囲まれ降伏し、鉄の鎖に繋がれてマンスーラ砦に入れられた。改宗しない兵は殺され、王も拷問にかけると脅されたが屈しなかったため、治療が受けれたという。結局40万ルーブルの身代金でダミエッタに居る軍の安全保障と10年間の休戦で合意した、ところが。

なんとイスラム内でマルムークの反乱!バイバルスが新スルタンを討ち、その首を持ってルイに「敵を討ってやったからな」と言った。バイバルスは前のスルタンの奴隷(マルムーク)出身の妃を女スルタンとして、マルムーク朝を開いたのであった。危機一髪を逃れたルイはその後解放。「弟は死んだなぜだ!」「坊やだからさ」と神が答えたという事実はない、しかし王は敗戦責任は虐殺をやった自分達の罪だと思った。

下はギュスターヴ・ドレ作「鎖に繋がれた聖王ルイ」