訪問カウンセリングのメリット
発達相談室つばさでは訪問カウンセリングを基本に考えております。
なぜなのか。
それは、以下の理由があります。
メリット①
遠い専門機関に出向かなくても、家庭で個別療育、発達相談、カウンセリングを受けられる
発達障害を専門とする医療機関や福祉機関は公のもの、民間のものといくつかありますが、お住まいの地域によっては遠い場所もあり、通院や通所に時間がかかり、保護者様の負担になります。訪問カウンセリングなら、そういった煩わしさを避けられます。
メリット②
家庭での実際の様子をみてもらえる
特にご家庭内で解決したい問題があるとき、実際の部屋の間取りや家具、おもちゃの配置状況、使っている道具などを実際に見せて頂くことは問題解決にとても役立ちます。話すだけでは伝わらない状況や改善点が、訪問カウンセリングだからこそ発見できる可能性があります。
メリット③
兄弟間、家族間の関係性を見てもらえる
ある問題を解決するとき、そこには当然親子の関係性や、兄弟姉妹の関係性が大きく関わってきます。診察室やカウンセリングルームでは対象となるお子さんだけを見て、解決策を考えることが多くなるため、この点が見落とされがちです。実際、ある解決策を考えたとしても、兄弟姉妹がそれに嫉妬したり、悪影響を与えたりして上手くいかないケースはよくあります。訪問カウンセリングでは、そういった状況全てを踏まえて、共に解決策を考えていくことが出来ます。
メリット④
不登校、引きこもり、外出が難しいケース、に関しても、カウンセリングのサービスが受けられる
お子さんやご本人が外出して療育やカウンセリングを受けづらい状況にあるとき、訪問カウンセリングはご自宅に出向き、お子さんが安心して居られる空間での相談が可能です。お子さんやご本人と直接お会いできない場合でも、ご家族の方とのカウンセリングの中から、問題点の整理や今後の見通し、解決策を見つけていくことが出来ます。
私は静岡県にある自閉症やAD/HDのお子さんを中心に観る診療所で、発達や育児に関わる相談業務を7年間してきました。
その中で様々な相談を受けてきました。主にはカウンセリングルームで保護者様のお話を聞き、その報告・相談をもとにあれこれとイメージを膨らまし、各家庭に合った対応方法を助言してきました。しかし、人が人に自分の置かれている状況を説明するとき、そこにはおのずと限界が生じます。相手に自分が思っていることを正確に伝えることは訓練された人間でも難しいことです。
実際によくあった例として、「落ち着きがなく、食事中に食べ歩く」や、「叱りたくないけれど、一日中怒ってばかりいる」という相談がありました。
この記事をお読みの保護者様も似た悩みを持つ方は多いと思います。
「座って食べるように何度も言い聞かせている」
「好きなものやデザートをご褒美に用意してモチベーションを高めている」
といったことを相談者の方はおっしゃいますが、効果がなかったようです。よくよく話を聞いていくと、まず座卓である(席を立つのが簡単)、立ち歩いて叱られるが、結局また座って食べての繰り返し、最終的に保護者の方が耐え切れなくなって食事を強制的に終了させるか、子供が泣くのに根負けして「今回だけよ」とご褒美のデザートを出す、というような顛末が多かった気がします。
カウンセリングの中で、上記のように細かな状況が判明するケースは比較的改善に繋がりやすいケースです。しかし、すべての保護者様が状況を冷静に分析し、1回の相談でそれを上手に伝えられるわけではありません。上記のようなケースも、実際は2,3回のカウンセリングを重ねる中で、宿題のような形で家庭での記録を取ってもらい、詳細が判明してくるケースがほとんどでした。
訪問カウンセリングであれば、時間を食事時にするなどの工夫も可能であり、実際の場面を直接観察し、具体的なアイデアを提案できます。上記の例でいえば、座卓ではなくテーブルで食べるように徹底する、椅子はベルトがあって子どもが一人では抜け出せず、しかも重くて動かせないものにする、などがあります。それでも子どもが席を離れたら、ご飯をすべて下げる、という方法もあります(ただし、そのあと子どもがお腹が空いて泣いたからといって、お菓子をあげると全くの無意味ですが)。
「叱りたくないけれど、一日中怒ってばかりいる」というケースは相談としては漠然としていますが、家庭での様子をビデオで撮影してもらったところ、TV台がローボードで子どもが簡単に登れるものであったり、子どもが手を出してはいけないもの(TVのリモコンとか)がすぐ手の届くところにあったりと、環境を調整すれば怒る回数が減りそうな箇所が何か所も見つかりました。こういう風に読んでみると、なんだ簡単なことだと思いますが、渦中にいる保護者様には”またか、またか”、”何度言ったらわかるのか”と苛立ちが募り、冷静に見ることが出来なくなることはよくあることです。
訪問カウンセリングをご利用頂くことによって、保護者様と当方が状況を共有しやすくなり、各家庭にピッタリ合ったオーダーメイドの環境調整や関わり方のアドバイスを提案できます。
※上記事例はよくある相談事例を複合して作成した仮想事例です。実際の事例ではありません。