ピアノ&ア・マイクロフォン 1983 リリース記念 リレー・インタビュー。
今回のリレー・インタビューでは、翻訳家としてご活躍の押野素子さんにご登場いただきました。
訳書は「マイケル・ジャクソン裁判」「ヒップホップ・ジェネレーション」他を手掛けられています。
■■■今年の4月にプリンスにミネアポリスに行かれたとのことですが、まずはファンが気になるところで、ペイズリー・パークはいかがでしたか?
押野:ペイズリー・パークは、ミネアポリスのダウンタウンから車で30分程度の郊外にありました。ウーバー(Uber)やリフト(Lyft)といった配車アプリが全米で発達したおかげで、慣れない土地(アメリカは右側走行ですし)で運転したくないという日本のファンの方々も、ペイズリー・パークに行きやすくなったと思います。ウーバーやリフトは、日時や混雑具合によって値段が上下するのであくまで参考ですが、片道35ドル程度で行くことができました。外から見るペイズリー・パークは、大きさも雰囲気もメガチャーチのようで、荘厳で宗教的な印象。熱心なプリンス・ファンが集まる聖地なので、ある意味では宗教施設といっていいかもしれません。
ミネアポリスを訪れたのは4月下旬でしたが、プリンスの命日の前週には大雪が降ったそうで(積雪30センチ以上!)、ペイズリー・パークにも雪がたくさん残っていました。まさに「Sometimes It Snows in April」な世界で、感慨深かったです。
館内に入るとすぐに撮影禁止を通告するプレートがあり、「ペイズリー・パークで写真やヴィデオ撮影しているところを見つかった人は、生涯出入り禁止」と書いてありました。実際、撮影に関しては厳しくて、入ってすぐのドアマット(ペイズリー・パークと書いてある)ぐらいなら撮れたりしないかな? と思って訊いてみましたが、やっぱりダメでした……
今回は、プリンスの命日イヴェントに行っただけで、ペイズリー・パークのツアーはできなかったので、次回はぜひツアーに参加して館内を練り歩きたいです。
■■■その他にも、プリンスが好きで、生前も最後に訪れたレコード店、Electric Fetusにも行かれたそうですが、いかがでしたか?
押野:エレクトリック・フィータスは、レコード/CDのほかにも、アパレルや雑貨を売っているお店で、楽しかったです。アメリカではCD屋さんはほぼ絶滅していますが、こういった雑貨屋としてのレコード屋さんは結構あって、その中でもこの店は規模が大きかったです。
プリンスお気に入りのレコード屋さんだっただけあって、Tシャツやプリンス関連書籍のほかにも、マグネットやマッチ、財布(←いやげものとして買おうとしたら、30ドルぐらいしたのでやめました)やトートバッグ、スリップマット(レコードマット)、ピアスやピンバッジなど、プリンスにあやかった(便乗したともいう)商品が充実していました。個人的に一番気に入ったのは、「PRINCE A TO Z --- THE LIFE OF AN ICON」という絵本です。絵だけ見ていてもカラフルで楽しいし、英語も平易なので、英語を学習中のプリンス・ファンだけでなく、お子さんにプリンスの英才教育を施そうとしている親御さんには、ぜひおすすめしたい1冊です。
今回のミネアポリス滞在中、レコード・ストア・デイも重なったため、エレクトリック・フィータスで「NOTHING COMPARES 2 U」のパープル盤(1,984枚限定)を購入しました。(ツイッターでお世話になっているヒロアツさんに情報をいただきました!)お店の人によれば、プリンスが生前ひいきにしていたレコード店ということで、プリンスのマネジメントはこうした限定盤などの入荷枚数などで、同店をかなり優遇しているそうです。
■■■その他にも、プリンス・ファンの方におすすめのミネアポリスの場所があれば、教えていただけますか?
押野:おすすめの場所をお話する前に、ミネアポリスのダウンタウンで特徴的だと思ったことをひとつ……それは、スカイウォークです。ウーバーのドライヴァーさんによると、「ミネアポリスの冬は、シカゴなんて比較にならないほど寒い」とのことなので、冬の間、なるべく外に出ないで移動できるよう、スカイウォークが発達したのだと思います。
それから、基本的には白人が大多数の街ですが、エチオピア人が多いのに驚きました。これまた前述のウーバーのドライヴァーさん(エチオピア人)情報ですが、エチオピア人のほかにソマリア人も多いそうです。ソマリア人の多さは、ミネアポリス市がソマリア難民を受け入れたことに起因するとのことです。アメリカの黒人は、独断と偏見にまかせて言わせていただけば、なぜかジャム&ルイスっぽい体型のかたが多かったです。やはり寒い地域だと、肉厚な方が寒さに耐えることができて、過ごしやすいのでしょうか?
プリンス・ファンにおすすめの場所は、やはりファースト・アヴェニューでしょうか? ダウンタウンを歩けばすぐ出くわすし、「First Avenue」とどでかく書いてあるので、非常に探しやすいランドマークだと思います。残念ながら、今回は時間がなくて中に入れませんでしたが、次に来る時はぜひファースト・アヴェニューでなにかライヴを見たいと思っています。
それから、ダウンタウンから歩いて30分ぐらいのところには、ヴェトナムのフォーのお店や、メキシカン・レストラン、素敵なカフェなどがありました。エスニックなお店とクールなカフェが混在している雰囲気から、再開発が進んでいるエリアなのかな? という印象です。このエリアにあるチーポ・レコーズ(Cheapo Records)に行ってきました。これまたツイッターで(ごめんなさい、お名前失念してしまいました!)プリンス・ファンの方に情報をいただいたおかげです。このレコード屋さん、中も年季が入っていましたが、驚いたのがショーウィンドウ! ザ・タイムの写真がデカデカと飾ってあり、ここだけ時間が止まっているかのようでした。
それからミネアポリスで食べておきたいものですが、ミネアポリスは優良ステーキ店が多いことで知られているそうです。確かにステーキ屋さんはダウンタウンにも数軒あり、どこも有名店でした。
ミネアポリスは大都市ではないため、ごちゃごちゃしていないし落ち着いているので(スタバやホール・フーズも空いていた!)、のんびりと過ごすにはちょうどいい街だと思います。それに、プリンスの故郷ですので、やはりプリンス・ファンの皆さんにはぜひ一度は訪れてほしい土地ですね!
さらに、ペイズリー・パークの内部をご覧になりたい方におすすめの、桑田英彦氏のレポートはこちらです。
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