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中村鏡とクック25cm望遠鏡

渡辺恒夫氏(火星)

2018.08.03 13:06

 渡辺恒夫氏(後の佐伯、1916-1996)は、「火星とその観測」の著者であり、また火星観測の大家でした。日本で本格的に火星の観測を行ったのは、中村要氏でした。中村氏急逝後、火星観測の四天王的存在になったのが、木辺成麿氏・伊達英太郎氏・渡辺恒夫氏・前田治久氏でした。

 火星運河論争が巻き起こっていた20世紀初頭、火星観測熱は現在よりもはるかに高く、火星観測用の望遠鏡がたくさん建造されました。

 戦前、現在よりも口径の小さな機材で熱心にスケッチを描いていた先達の姿に接する時、敬服の念と共に、身の引き締まる思いがします。

 渡辺恒夫氏と愛機8cm反射4cm屈折です。

 写真裏面には、「8cm反射 almach号(故中村氏No.213号)4cm屈折 prominence号 故北川氏の使用された4cmが手に入ったことは誠に奇縁と思われます。よって北川氏の用いられた名 prominenceを襲ねて用い記念と致します。photo by T.Miyazaki (渡辺氏の愛キ2キ)」とあります。

 左 伊達英太郎氏、右 渡辺恒夫氏、伊達氏所有8cm無メッキ太陽望遠鏡と共に。

 渡辺恒夫氏の1935年5月21日の火星面スケッチ。この時の火星までの距離は、9300万Kmでした。

(参考文献)

日本アマチュア天文史,日本アマチュア天文史編纂会,恒星社厚生閣,1987

中学天文教室火星とその観測,佐伯恒夫,恒星社厚生閣

(写真は伊達英太郎氏天文写真帖より、スケッチは伊達英太郎氏保管)