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FROM桑名石取祭『NINL』vol.15 「提灯のお話」

2018.08.03 23:03

石取祭は夜の祭です。

少し前vol.12で「祭車の灯り」のお話をしました。

その中にも “提灯” が登場しましたが、実は祭車の他にも色いろな種類の “提灯” があるんです。


中で一番重要なのが、祭事長が持つこの “役提灯” です。


祭事長は祭車の前に立ち、この提灯を上げ下ろしして合図を送り、祭車を進めたり止めたりします。(“進め” や “止まれ” という動作の切り替えに提灯を上げる)

“采配”のようなものですね。


よって、私たちにとっては重要なものですが、見学の方の印象は、圧倒的に祭車の万灯や十二張ですよね。


この提灯は、通常のもの 雨用の油提灯の2種類があります(vol.13でも少しふれています)。

右の白っぽいのが通常のもの。左が雨用の油提灯。

油提灯には傘がついています。

雨除けの傘、こうして比べてみると傘がちょっと可愛らしく見えます。


写真右側の大きな提灯が十二張用。 左の小さい方が天幕用です。

不燃剤とかではないので、風でバタついて中のロウソクが倒れると普通に燃えます(笑)。

ですから予備も備えています。


そして、これが↓万灯です。

中がこんなふうに取り出せて、

雨用の油の方と交換できます。


万灯には小窓があって、そこを開いて蝋燭を交換します。


万灯の中はこんな蝋燭台があります。

写真の白いところが小窓部分です。
この面に「町内安全」と「天下泰平」と春日町の祈願を記していますが、これは町によってそれぞれですね。


そして、こちらが「御幣(ゴヘイ)」。

万灯の上につけます。


こんな提灯に付随した “小さな仕掛け” がこちら。

祭車のサイド、一見普通に見えますが、、、

引出しになっています。
役提灯の蝋燭などを入れて備えています。


さて、こんなふうに準備万端にむかえる祭当日。

天気が悪い場合や、悪くなるのが明らかな場合は、最初から油提灯で出ることもあるのですが、問題なのが途中で天気が怪しくなってきた時です(このあたりもvol.13で取りあげています)。


この場合、祭事長が「そのままにする」か「油提灯に交換する」か、の判断をするのですが、一旦交換の判断が出ると一気に慌しくなります(大わらわ)。

普通の提灯は雨で濡れると壊れてしまうので、山形によじ登ったりして速やかに交換作業を行います(雨対策についてはvol.13を!)。

私たちにとっては大変な作業ですが、見学の方にはこれも見どころの一つでしょうね。


もう一つ提灯をご紹介します。

子供たちが持つ「弓張提灯」です。

岡っ引きが “御用だ御用だ” で持っているアレで有名でしょうか(笑)。

この形の提灯を使っているところは珍しいようです。


叩出しの日の夕暮、子供たちはこの提灯を持って “おかっつあん” にいきます。

持ちやすいし、ちょっと小粋でしょ。

こんな様々な提灯もぜひ楽しんでくださいね。

案内人:春日町副祭事長 堀田大介

【提灯豆知識】

<伝馬町の十二張>には提灯の中に “オモリ” が仕込んであり、よって伝馬町の十二張は他と比べると長く見える。=by 市岡恒明=


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