短編集《…あるいは傷、としての短編。そしてその集合》
恋愛にまつわる、短編。
今まで書いてきた短編を…特に、恋愛にまつわる短編を集めてみました。
個人的には、恋愛小説と言うのが、一番書きたいものだったりします。
小説ジャンルとしての《恋愛小説》ではなくて、《愛することについて考える小説》というか。
恋愛って何?と考えると、まず単純に哺乳類としての繁殖のための本能ですよね。いわゆる性欲、というヤツですが、でも、明らかにそれが恋愛と言う不可解な事態のすべてではないことを、僕たちは経験的に知っているわけです。
だって、ときに恋愛の尊厳のために性欲だの何だのを軽蔑しさえするんですから。
そして、あるいは同性愛。
もはや、異常な事態ですよね?単純に、そこには一切の哺乳類としての必然などないのですから。
そう考えると、それは、どこまでも不可解なものなのですが、とは言え、生殖的な生存様式上の必然を捨象してしまえば、実は、痛みしか残らないのです。
相手を幸せにしたい、という熱望も、結局は集団生活によって生存してきた人類の、生存のためのための当然の本能的欲求なのだろうし、子どもを生むことも、育てることも、そうですよね?
恋愛にまつわる明確なポジティブ要素は、全部、生殖の要素に還元しなければならなくなります。
あとは、ネガティブな要素が残るばかり。
無意味な不安とか、無意味な悲しみとか、自分では処理できない心の痛みとか、理解不能でむしろ自虐的な切なさとか、何だとか、かんだとか…
と言うことは、肉体を離れた恋愛、あるいは精神というものの固有性って、結局は、痛み以外にはないんじゃないか、と。
うまくいえませんが、…何なんでしょう?
この、不可解な、そして、奇妙な美しさは。
いずれにしても、もっとも不可解だからこそ、僕は恋愛と言う事態に、惹かれるのです。…
…ぜひ。
2018.04.08
Seno-Le Ma