第7回十字軍10-皇帝助力母の死、ルイ帰国
2018.08.05 11:28
解放されたルイ9世は弟2人を帰郷させたが、最後の1兵が解放されるまで帰らず、とエルサレム王国に留まる。ルイは人々を安堵させ、王自ら城壁を修復し、祈り、味方の屍を運ぶなど懺悔の日々を送った。一兵士として分けへだてなく接する王に皆感動した。しかしエルサレムへは「勝って入る」と招待に応じなかった。
王妃マルグリットは、何と敗北時に臨月の身であった。彼女は警護の者に、敵の辱めを受けるくらいなら自分の首を切るように、と命じていた。しかし出産してからはすぐ王の身代金集めに奔走し、テンプル騎士団にも掛け合って全額調達して王を解放させて、エルサレムへ赴いた。
ルイは、聖地の防御を建て直し、ここでも各者の不和を調停してまわった。エジプトがマルムークとなったことで、シリアのアイユーブも、どちらもキリスト教徒を味方にしようとして、ルイに近寄り、その結果兵の人質は返され、イスラムとの10年の休戦条約が締結された。
実は欧州でもあのフリードリヒ2世が、ルイ王の解放にイスラムとの繋がりを生かして動いたらしい。そして1152年11月26日、母国で留守を支えた母ブランシュが崩御した。王は嘆き、帰国を決意した。「心しなさい、王が帰国するのは、王が神の愛に応えた正義を徹底して行うためなのです」と帰国途上、僧ユーグは臣下に言った。
下はサンシャペルのブランシュ・ド・カスティーユのステンドグラス