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丸編み生地製造という職業にたどり着くまで-番外編-

2018.08.05 11:40

カットソー生地を作って売るという仕事は、地味だ。

超地味で、数字ばっかり追いかけがちになる。

「なんでも良いから売れたらええんやで」って空気がすごい。

従事者の評価も、「なんぼ売ったか?」の方が評価される。内容は関係ない。

何処其処の生地のパクリだろうが何だろうが、数売って数字上げたやつが偉いことになってる。

僕は業績がズバ抜けていたわけではないから、業界内で特段注目されているということもない。


ただ、見た目がいわゆるサラリーマン的なそれではないし、やってる内容も定石にとらわれないことをメインにしているので、特定の層にかなり気に入っていただいている。これはとてもありがたいことだ。


趣味のベース弾き(本当はこれで飯を食えるようになりたかった)が、実は非常に役立っている。


年に二回ほど企画される、某縫製工場さんのライブパーティにベース演奏者として起用していただいている。

川中の集いだが、これがなかなか楽しい。

↓グレーのTシャツが僕。

80sのUKパンクをメインとしたコピーバンドだが、日本歌謡もやるし、とにかくお客さんを楽しませるということに注力したイベントだ。

本業以外でこういう催しをするということは、実はかなり効果的なのだ。


商売をしていく上で、自分の思い通りにならないことは多い。仕事と割り切ってやってても、やはり腹落ちしない案件も多数あるだろう。それでも続けているのは皆ファッションが好きで、もしくは、この業界が好きだからだろう。

好きでもやはり、日々の不満は蓄積していくのだ。憂さ晴らしが必要である。


このイベントはそういったネガティヴな部分を少しでも和らげてもらおうと、イベント主催者の方が色々な工夫をされて実現している。


来てくれるお客さんは川中が一番多いが、川上から川下まで幅広く普段の仕事を忘れて皆踊る。

納期遅れによる気まずさも、縫合不良によるクレームも、事を憎めど人を憎まず。

とりあえず忘れて楽しんで、また後日は気持ちを切り替えて事に臨むのである。


問題が起こるとどうしても、その人に嫌われたくないとか、感情のやりどころに困る場面に直面する。

でも、誰もが悪い事をしようとして問題が起きているわけではない。

起きてしまった事は仕方がないので、切り替えて事に臨み、失敗を取り返せばいいのだ。

しかしこれがなかなかできない。

そういう人たちにとっても、このイベントは非常に有効だと思う。

共通の音楽が好きだったり、曲は知らないけどお酒飲みあって踊るというのは、今時っぽくないかもしれないけど、割り切れない人が多い世の中だから有効なんだよね結局。


次は2月頃に企画しているようなので、新たな出会いも期待できるこのイベントをまたSNSやこのサイトで告知したいと思う。