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書を続けている理由。

2007.07.09 15:00

ある友人から、「丁寧に生きる」という言葉を教えてもらった。
じわーっといい言葉だなぁと思った。

ある雑誌を見ていたら、
「着物を着ている日は、少し丁寧に生きている」と書いてあった。
たしかに、そうだなぁと思い当たった。



そうか。
だから私は和服が好きになったんだ。

Tシャツにジーンズも、さっぱりと心地よい。
ワンピースも、ふわふわして大好き。

けれど、
髪を結い、
一枚一枚衣の襟を合わせ、
帯を結ぶ。

丁寧に身だしなみを整えていく
その手順を踏んでいると、自然、背筋が伸びる。

そして、和服を着ている日は、一つ一つの所作が丁寧になる。
所作が丁寧になれば、自然、考え方が丁寧になる。

たとえどれほど、予定がタイトでも、
気持ちが雑にならないための、支えになっている気がする。

だから、私は和服が好きになったんだ。



ああ。そうか。そうなんだ。

私が、書を続けている理由もそこにあるんだ。

走り書きのメモをすることもある。
パソコンで文字を打つこともある。

けれど、
墨を擦り、紙を広げ、
筆を持ち、文字を書く。
時に強く、時に優しく。
大らかに、あるいは繊細に。

一つの文字、否、一本の線にすら、気持ちを傾ける。
「字を書く」という、ただそれだけのことなのに、
そうやって丁寧に物事に接することが、自然、考え方を丁寧にしてくれる。

だから、私は書を続けているんだ。

どんなに予定がタイトでも、どんなに時間が限られていても、
すくなくとも書に携わっているその時間は、
ゆったりと、丁寧に、生きているのだという気がする。


自分自身の心臓の音や、呼吸の音が
ごくごく静かに感じ取れるような、
丁寧に生きる時間を
これからも大事にしたいと思う。


そして、願わくは、教室へ通ってきてくれる生徒さん達にも、
少しでいい、丁寧に生きる時間を感じてもらえればと思う。
















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