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籠人ゆかし

2009.03.16 15:00


(「芭蕉四季句〈春〉」・和処なかくし蔵・2009)

*


春の夜や籠人ゆかし堂の隅  芭蕉


*


芭蕉四季句連作のうち、春の作品。

夜桜を思わせる着物地と芭蕉の句を取り合わせて

額作品に仕立てました。


句に花という言葉は出てこないけれど、

なぜか私はこの句の背景に

夜桜のその花弁を思います。



堂の内の籠人(こもりど)はその花を目にしてはいないでしょう。



ただ、

「すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。」

徒然草にもかく言うように

春の夜の鈍い闇の中に白く浮かぶ花弁を

籠人もまた感じているかもしれません。