小谷元彦「SP0」
地元近くに、「田中(でんちゅう)美術館」という美術館がありまして。
そう、あの天才彫刻家・平櫛田中の美術館です。
初めて見に行ったのは中学生の頃だったと思います。
両親に連れられて訳も分からず見に行ったのに、
その作品群の圧倒的な迫力に
子供心に心臓が痛いくらいの衝撃を受けました。
その平櫛田中の名を冠した彫刻ジャンルの賞「平櫛田中賞」の
第25回の受賞者、小谷元彦(おだにもとひこ)さんの
受賞記念展、見に行ってきました。
平櫛田中賞取った作家さんは、
歴代、それはもうすごい実力者揃いなわけです。
大好きな三沢厚彦さんもそう。
(→アニマルズプラス展)
だからもうね、必然的に期待度高くなるでしょ、そうでしょ。
http://www.city.ibara.okayama.jp/denchu_museum/exhibit/exhibit_history/201201.html
ううーん。
凄い。
巧い。
美しい。
確かに、期待を裏切らない。
そして、恐ろしい。
・・・・これはねぇ。
巧者だな。という印象。技術も、モチーフも、見せ方も。
とてつもなく巧者。
気持ち悪いもの、恐ろしいもの、というのは人に与える印象が
絶対と言っていいほど強いものなんです。
ただきれいなものよりも、「恐ろしい」もののインパクトは絶対的に強い。
「恐れ」というのは「畏れ」に近くて、
「畏れ」というのは自らの手の届かないものに感じる感覚で、
それは圧倒的に「美しい」ものにも感じる感覚で。
恐ろしさの行き着く先と、美しさの行き着く先は
「畏れ」という概念で交わるような気がするんです。
ただ恐ろしいだけではいけない。
ただ美しいとも違う。
この人は、その辺のさじ加減を知ってる人だ。という印象。
展示の作品数は少ないですが、
その絞り込まれた展示の仕方、空間、照明までも
これは、小谷元彦という巧者の所業なのだなと恐ろしくなりました。