二月は、一年のうちで一番寒く、ここ瀬戸内にも珍しく雪が降りました。雪がふると、人が消え、車が消え、畑が消え、何もかも白く白く埋もれていくようでじわりと恐ろしく感じます。その雪が溶けてふと見ると、庭の冷たい土の中から蕗の薹が顔を出していました。浅緑色の小さな春のかたまり。庭のそこ此処に十五ほどもあったでしょうか。刻んで炒め、味噌と鰹節と我が家で採れたゴマと一緒に練り上げて小瓶に三つ分の、蕗味噌が出来ました。春は何もかもが柔らかな色で、何もかもが若々しい香りで、何もかもがほろ苦い気がします。もうすぐ、たらの芽も芽吹くでしょうか。