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Be ambitious, dear friends.

指導者は日々、指導されている

2023.08.19 00:00

英国で留学中のK先生からInstagramを通してメッセージが届いた。到着後、元気な毎日を送っているという。待ち望んでいた便りだったので、とても嬉しかった。


K先生。この6月まで、スクールで中高生の英語授業を担当してくれていた。彼女のことは彼女が高校生の頃から知っていた。けれど、共に働くようになってからは「こんな考え方をしている人だったのか!」と、良い意味で驚く発見が非常に多かった。一年間、私は上司の立場ではあったけれど、むしろ彼女に教わったことの方が多いのではないだろうかとすら思う。


これは、生徒にもしばしば感じることである。


私が指導する生徒の年代は本当に様々だ。まだ赤ちゃんの面影を残す未就学児童たち。元気いっぱいで面白いことや楽しいことが大好きな小学生たち。背丈が伸びてきて少しずつ、指導者に敬語を使い出す中学生たち。礼儀正しくてやや達観したような高校生たち。自分の好きなことを追求できるようになる大学生たち・・・ 


バラエティに富んだ生徒達を指導することは、とても楽しくてやり甲斐があることだけれど、大きなチャレンジでもある。そしてもうひとつ実感していること。それは、「自分が指導している以上に、自分は生徒に教えられている」ということ。


例えば中学生の生徒が宿題を忘れて来たとする。「連絡帳を見るのを忘れていました。ごめんなさい、次は気をつけます。」と素直に謝るその生徒を見て、考える。大人、いや自分はどうだろう。失敗したときやミスを犯したとき、目の前の人に対して謝ることをためらいはしないだろうか。言い訳をして、自分の立場をわずかでも良くしようと保身に走らないだろうか。


例えば小学生の生徒が「先生大好き!いつも英語を教えてくれてありがとう」ってお手紙を書いてきてくれたとする。私は自分が賞賛に値するひとかどの人物であるかのように勘違いしてしまわないだろうか。自分を誇るより先に、生徒の優しさと信頼と行動に感謝することを思い出せているだろうか。


教えるスキル以上に指導者としての生き方やあり方を問われていると感じる。そしてこちらの課題の方がもっと取り扱うに困難であると私は知っている。なぜなら、他の何とでもない。自分の心と戦わなければならない課題だから。だからこそ、素直に謝り、まっすぐに感謝を伝えてくれる生徒たちは私にとって手本なのだ。指導者は自分こそが指導されるべき身だということを忘れてはならないと思う。


K先生の住むバーミンガムは、夏も過ごしやすいらしい。


メッセージの最後には「夏休みの学習プログラムをまもなく終えますので、こちらでの生活レポートをお送りしますね」とつづられていた。秋風が吹く頃、スクールのニューズレターには異国で奮闘する彼女の毎日が記事になる。素敵な留学生活でありますように。


また、K先生の頑張る姿を読む生徒たち。夢をつかむために努力する素晴らしさが、彼らに伝わりますように。願う。