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なぜ夏はノスタルジックなのか

2018.08.10 15:00

Maribrengaëlです。

8月に入ると庭の百日紅(サルスベリ)の木が濃いピンク色の花を付けます。この木は、柏葉幸子さん作の児童文学「霧のむこうのふしぎな町」が大好きな私が、ずーっと昔に植えたもの。本の中で、主人公のリナが夏休みを過ごすことになったお屋敷の庭に咲いていたのが、この百日紅でした。お盆休みになると、帰省や避暑地に向かう車窓から、庭先で空に向かって咲くこの花を目にする人も多いと思います。そして、びっくりすることに、暑ければ暑いほど元気になるんですよね百日紅って。そういうところ、とてもこの季節の星座、獅子座に似ていると思います。とにかくエネルギーに満ち溢れている。サラリとすごいことをやってしまうのに、あまり自分では認識していないところとかも。この「霧のむこう~」の主人公リナもそんな女の子で私のイメージ的には獅子座の女の子。まあ、彼女が夏休みをその町で過ごす中、「お誕生日」というシーンは出てこないですが。ビクビクしながらも最終的に肝がすわっていてやり遂げるところがまさにそうだな、と。

ところで、夏ってノスタルジックで時間軸が交錯する感覚があると思いませんか?特に8月のこの「お盆」に向かっていく時期。思い出の多い季節だからなのかもしれませんが、この感覚は日本独特のものだと思います。

 「霧の谷へ行きたいんすが。」リナが聞いても地元の人は一同に「知らない」「もしかして廃村になったところじゃない?」などと言います。ただトラクターに乗った通りすがりのおじいさんだけが、「同じように、同い年くらいの男の子を乗せたことがある」と言います。それがリナの父なんですけどね。そしてその男の子にしたように「神社のところで降ろすから、その横の道を登って行きなさい。」と伝えます。リナが父から預かったピエロの柄のついた傘が風で飛ばされてしまい、追いかけた先で洋館立ち並ぶ不思議な町を発見します。そこで、突然一風変わった人たちと過ごす夏休みが始まります。

 子どもの頃、なぜだか私も近くの神社の脇の道を登っていったらこの町を見つけられるんじゃないか、と思うほどリアリティがありました。現代のアニメーションでも、この季節を舞台としているものが多いのはファンタジーの中にリアリティを持たせるためだ、ということを聞いたことがあります。誰でもこの夏の空気感は体感しているためリアリティを感じやすいと。

この時期日本では、広島・長崎の原爆の日、太平洋戦争の終戦の日という「戦争」に纏わる祈りの念、お盆という今は亡き人々への鎮魂の念などが強くなります。都会からは帰省する人は、懐かしい人に会い、昔の自分に思いを馳せるでしょう。それによって街角や道路や公園や山や畑や林や神社など、都会でも田舎でもあちこちに残された記憶や思いがザワザワと動き出します。それによって、過去と今が交錯する。私は、夏が放つノスタルジックな空気はこれから出来ていると思っています。様々な場所に残されたものが祈りや思いに反応するというか。あくまで、私の考えですが。

もちろん、「霧のむこう~」はフィクションの単なる児童文学ですが、この時期そういう「説明できないもの」とリンクする可能性が高まる独特な期間というのは、実際そうだと思います。日常の中に潜む異世界へのシンクロ。アニメ映画「となりのトトロ」もきっとこの時期の話です。あの感覚がまさにそう。

ということでこの時期、色々感じやすかったり、何かわかってしまったりする人も多いと思います。もちろん今の自分には必要のない無駄なものをキャッチしてしまうこともあるので、自分を守る意味で意識的に鈍感になることも忘れないで下さい。

何といっても日本ではお盆にして「獅子座の新月(部分日蝕)」。しかも7月から続いた「蝕三部作」の完結編です。独特な空気感の中、どっと最近の絡まりが解ける時となり、さらに感覚が研ぎ澄まされます。もしも…説明出来ない不思議なことが起こっても驚かないでくださいね!?

Les Chronovoyageurs... 

 ※日本時間 8/11 18:58 に新月となります。