「本土」から、遺志を継ぐということ
本日8月10日、辺野古を止める!基地引き取り緊急連絡会で行った全国知事アンケートの結果について東京の衆議院議員会館で記者発表を行いました。
そこで発表する予定だったFIRBO の声明文をここに掲載いたします。
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翁長雄志さま
おととい、知事が亡くなったとのニュースを受けて、悲しさと、悔しさと、情けなさと、やり場のない感情に、ただうなだれることしかできません。
この事実を前に、知事は誰かに命を削られたのではないかという思いがぬぐえません。
「辺野古が唯一の解決策」といって頑として譲らない日本政府に?
もっといえば、私たち「本土」の人間に?
支持、不支持に関係なく、政権を維持してきた私たちの政治的選択の結果として、あなたの命を削ったのではないか。この国の安全保障体制を守るために、あなたを犠牲にし、辺野古の美しい海に埋めようとしているのではないか――
そう思ったとき、身が戦慄します。
安らかに眠れ、とか、ご冥福をお祈りする、とか、そんな生易しいことは言えません。手を下したのは、他でもない、私たちなんだと。
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辺野古代執行訴訟の意見陳述で、翁長知事は国民に問いかけました。
「日本には、本当に地方自治や民主主義は存在するのでしょうか。沖縄県にのみ負担を強いる今の日米安保体制は正常といえるのでしょうか。国民のみなさますべてに問いかけたいと思います」と。
私たち基地引き取り運動は、このような沖縄の「県外移設」の声を受けて、2015年3月に大阪でスタートし、全国に広がりました。
しかし、生まれてからもう3年も経つのに、沖縄への基地負担集中という沖縄差別を一ミリも改善してこられなかった。あなたの死を受けて、この現状に、ただ打ちひしがれるしかありません。そして、打ちひしがれる特権を、私たち「本土」の人間は持っていることもよくわかっているつもりです。
だからこそ、打ちひしがれている暇などはない。
「日本には、本当に地方自治や民主主義は存在するのか」というあなたの鋭い問いかけに、市民として、責任を持って向き合っていきたい。
今回、私たちが行った全国知事アンケート結果を見ると、沖縄県に理解を示す知事が増えており、これは、「安全保障は国の専管事項であり、口を出す立場にない」、と他人ごとの県がほとんどだった昨年にはなかった傾向であり注目に値します。この背景には、あなたが全国知事会に呼びかけ2015年に設置した、「米軍基地負担に関する研究会」での議論の成果が大きいでしょう。
中央の言われるままの地方自治でいいのか、というあなたの問いかけは、頭の固い知事たちの考えを、今、変えようとしています。
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翁長知事、あなたの遺志を、「本土」から継ぐとは、県外移設=基地引取を実現させること以外にないと考えています。
あなたはこう言いました。「沖縄県民は自由、平等、人権、自己決定権をないがしろにされてきた『魂の飢餓感』を抱いている」と。
私たちは、同じ国民として、等しい重さの、等しく満たされた、ひとつひとつ、尊厳のある”魂”をもつという、しごく当たり前の民主主義を実現するため、地方から、基地引き取りの声を、さらに大きく上げていきたいと思っています。