『おい』
2018.08.10 11:29
ラジオで聞いた話
その投稿者はあるブラック会社で働いていたそう。
その日も深夜まで会社に残り、仕事をしていた。
やっと仕事が終わり、職場の電気を消してフロアを出る。
そしてエレベーターホールでエレベーターを待っていたのだが、ある事に気が付いた。
エレベーターが屋上まで行ったのだ。
先程も書いたが時間は深夜。
そのビルに残っているのは投稿者ただ一人のはず。
なのに一度上に行くという事は誰かがエレベーターを呼んでいる?
恐ろしくなった投稿者は階段を使って降りようとした。
すると、
「コツ、コツ、コツ、コツ」という自分の足音に紛れて
『タッタッタッタ』と自分の後ろから階段を下りてくる音が聞こえてくるのだ。
どうしよう!階段で追いつかれる!
エレベーターで一階まで20秒ぐらい・・・
20秒我慢すれば・・・!
大急ぎでエレベーターホールへ行き、エレベーターに乗る。
ポーン、一階に着いた。
良かった、何もなかった。
そう思ってエレベーターから降りたとき、後ろから
『おい』と低い男の人の声がした。
聞き間違いだと自分に言い聞かせ足早にビルから出る。
外からビルを見ると、どの階にも電気は付いておらず、やはり投稿者以外は誰もいなかったそう。
急いで帰ろう。
時期が冬だったこともありイヤーマフをして自転車に飛び乗った。
冷たい風に吹かれながら自転車を走らせる。
走らせるごとに段々と冷静になってきた。
エレベーターの故障、それか本当に人が居たとか
本当はもっと下らない事なのではないか。
そう思いながら自転車、歩行者用のトンネルに入る。
そうだ、あれは全て疲れからくる幻覚幻聴だったのでは・・・
『 お い 』
耳元であの時聞いた声がした