よく知らない本人の胸のもや
『モヤッと。』
「ほう。」
『モヤッと。モヤッと。』
「ボールね。ボールを投げてんのね。」
『そう。胸にあんのよ。』
「モヤッと。してるわけか。」
『モヤッと。噛みしめるように。モヤッと。なにかに別れを告げるように。モヤッと。」
『モヤッとー!』
「スッキリしたか?」
『した。』
「フン、そこはスッキリ!じゃないんかい。」
『まぁまぁまぁ。』
「んで?」
『どーにも夏バテだ。出来ることはなんとかした。だからこれは災害的な暑さのせいだ。出来るることはなんでもしているのだから、あとはがんばらなくちゃいけない。』
「そうか。えーーーっと。」
『うん。何からしたらいいかわかんない状態だ。』
「さようかぁ…」
『やりたいことはいくっつもある。このあとちょっとしたお勉強をやる。それまでにリビングを少し片付ける。ちょっと掃除機をかけて…そのあとは最近寝苦しいからエアマットを敷く。ひんやりしてるからね。あとは最近やってる控訴審の書面を作る作業を再開しないといけない。改めて予定を練るところからだ。しばらくダウンしていたから結局デッドラインまで三週間というところに来てしまった。弁護士との打ち合わせ日程を打診して、早い段階ですり合わせをする。そのためには早い段階で控訴理由書の追記分と、陳述書を書かないといけない。これがいちばん大きいことだね。』
「ふんふん」
『大変そうに見えるけど、意外と量は多くない。けれど大変なんだ。内容を何度も精査しなくちゃいけないし、もう三年もやっている裁判だし、係争開始からは6年位かかっている。原稿を書くときは精神がめちゃめちゃ削れるからまず向き合うのがだるいんだ。けれど、社会的には必要なことだし、全力を出せなければ後悔する。だから毎回提出期日前はギリギリで全力を出して、後悔のないものは作っている。けれどそれじゃあ周りの人に負担をかけるし、第一健康に良くない。寝不足になるし、ご飯もサボってカロリーメイトとコーヒーが続く。』
『ぷふー。』
「だいぶ喋るなぁ。」
『「」くんが聞いてくれないとここまで自分の頭で思考を巡らせることすら厳しい。だから、ありがたい。』
「ならよかったぜ。」
『それはそれでしっかりやるとして、趣味や資格のこともしたい。どうにか、毎日15分でもできればと思う。そういうメリハリをつけた行動も自分で出来たら良いなと思う。』
「良く言えば集中、悪く言えば視野狭窄といったところか。」
『そうなんだ。頭を使わないことなら出来るんだけど、今趣味で企画をやっていて、色んな人と一緒に進めているんだけど、俺がちょっと作業すれば進むのにそのちょっとの手が進まない。』
「じゃあ今やれよ。」
『やるわ。この勢いでやる。ありがとう。またあしただ。
「おけ〜」