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元美浦トラックマンの競馬血統ブログ

【血統考察】関東馬No.1~15 キャロットクラブ 2023年度募集

2023.08.22 13:56

本ブログを多くの方に読んでいただいているようで、嬉しい言葉もかけていただきありがとうございます。今年は種牡馬・厩舎の見解をお伝えすることを意識して書いてみました。その結果、未完成ながらすでに32,000文字を超える修士論文並みのボリュームになりました。これを広告なしで無料提供するのも血統派の普及のためです。
血統に少しでも興味をもっていただき、馬選びの参考になれば幸いです。
ついでに配合コンサルタントのお仕事もお待ちしております。


1. マリアライトの22

募集価格7000万円 牝 久保田厩舎 ノーザンF生産 3/7生まれ
体高149.0cm 胸囲176.0cm 管囲19.5cm 体重442kg
父エピファネイア 母父ディープインパクト

父エピファネイア×母父ディープインパクトは緩さを強く伝えるため、牝系にSadler’s Wellsの血を持つ馬がよく走る。ノーザンF生産馬に限れば、全4頭勝ち上がり、アリストテレス、全兄オーソクレースが活躍している。ただ、エピファネイア×ディープインパクトという配合は牡馬>牝馬の傾向が強いだけに、全兄ほど活躍できない可能性も懸念され、募集価格ほどの期待はしづらそうだ。

また、クリソプレーズ牝系も牡馬>牝馬の傾向がかなり強く、牝馬の場合でも牝馬特有のキレはなく、母マリアライトのようにスタミナ・底力で勝負するしかない。これだけの高額馬ならクラシック戦線での活躍を期待したいところ。それが厳しくなるのは非常に残念。


2. ザズーの22

募集価格5000万円 牡 林厩舎 ノーザンF生産 2/27生まれ
体高156.0cm 胸囲182.0cm 管囲21.2cm 体重488kg
父キズナ 母父Tapit

昨年度の当クラブ募集で考察済。
Tapitの血はStorm Catと非常に相性が良く、キズナ産駒の成功配合にあたるStorm Catをいじるパターンにも該当する。Tapitの血を持つキズナ産駒は、2/4頭勝ち上がり、シャムロックヒル、ティムールが活躍している。また、Gone Westの血を持つキズナ産駒は20/27頭勝ち上がりと非常に優秀。牡馬<牝馬の傾向が強いものの、牡馬ではクロパラントゥが活躍している。

全姉に比べて馬格があり、厩舎もノーザンF関連クラブと相性が非常に良い林厩舎となれば、堅実に走れる可能性がより高まる。ピンパーになりやすい母ザズーの産駒であることから堅実に走る血がある保険は大きいし、3/4同血兄姉のようにOPまで出世する可能性まで十分。

ダート馬でよければ一口馬主を楽しめる1頭。


3. ヴィルデローゼの22

募集価格5000万円 牡 宮田厩舎 ノーザンF生産 3/25生まれ
体高154.0cm 胸囲170.5cm 管囲21.0cm 体重437kg
父キズナ 母父エンパイアメーカー

母方にIn Realityのクロスを持つ馬にはシャムロックヒル、クリスタルブラックが活躍。牡馬に限れば、5/7頭勝ち上がり。ノーザンF生産馬はおらず、社台ファーム生産馬では結果が出ている。しかも、本馬はキズナ産駒の成功配合である、Storm Catの血いじり/母が短距離実績馬に該当する。母父エンパイアメーカーはローズボウルしか結果が出ていないが、配合的には問題なさそうだ。

課題としてはスケール感。ブルーメンブラットの系統はTom Foolの捌きが持ち味で新馬戦に非常に強いが、その後出世に苦労するタイプが多い。これは牝系にHyperonの血がないことが要因だと考え、欧州型スタミナ血統と組み合わせたいところ。本馬はその逆にあり、上級条件までに頭打ちの可能性がありそう。募集価格を考えると割高感が否めない。


4. ラドラーダの22

募集価格7000万円 牝 木村厩舎 ノーザンF生産 1/20生まれ
体高154.0cm 胸囲173.0cm 管囲19.4cm 体重409kg
父キズナ 母父シンボリクリスエス

父キズナ×母父シンボリクリスエスは6/11頭勝ち上がり、ソングライン、アカイイトとG1馬2頭を輩出している。この2頭含めて上級条件で活躍するには「Donatello+Hyperion」の血が必須。これはキズナのAcropolisの血とニアリークロスになることが要因だ。
本馬は3代母ウインドインハーヘアのため、Fiji とBurghclereがニアリーな関係にあり、同様の効果が期待される。そもそもこのニアリークロスを増幅させるために上記の血が必要なのであって。もちろん本馬も好配合馬だ。

種牡馬キズナはフィリーサイアーのため母父になっても楽しみであり、本馬はウインドインハーヘア 3×3を持ち、レディブロンド~ラドラーダと優秀な繁殖牝馬の系統。それだけにアワブラとしても非常に期待したくなる。

馬格に関しては、母ラドラーダ・祖母レディブロンドも馬格が小さめだったため、これくらいの大きさであれば許容できる。むしろ、ウインドインハーヘア 3×3という濃いクロスなだけに、体質に問題ないかは十分チェックしたいところ。体質リスクさえ許容できれば大物狙い~アワブラ狙いまでしたくなる1頭。


5. アヴェンチュラの22

募集価格6000万円 牡 田村厩舎 ノーザンF生産 4/11生まれ
体高159.0cm 胸囲178.0cm 管囲22.0cm 体重489kg
父ロードカナロア 母父ジャングルポケット

一昨年度の当クラブで考察済。
Try My Best=El Gran Senor 5×4、Nureyev 5×4と体質を締める血がしっかり入り、母は中距離GⅠ馬と、アーモンドアイと似たような血統構成。Hornbeam≒Sunsetの継続クロスもあり、文句なしの好配合馬。

もはや本馬の牝系は脚元・体質の弱さだけ。母の産駒も結果を残せておらず、タフな調教を課す田村厩舎というのも怖い。さすがに見送り。


6. アドマイヤセプターの22

募集価格5000万円 牡 田中博厩舎 ノーザンF生産 1/19生まれ
体高158.5cm 胸囲176.5cm 管囲20.4cm 体重440kg
父シスキン 母父キングカメハメハ

血統考察は血統評論家・望田氏のブログで解説しているので、そちらを読んでください。リバティアイランドを逆さまにしたような配合。もちろん好配合馬。
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/85edad21c29dc7b71a9624dac9edf4a2

田中博厩舎は近年ノーザンFの序列で関東最上位になった厩舎で、今年は初G1制覇を果たし、ノーザンF天栄馬でも重賞で結果を出している。ノーザンFの意向としても期待できそうだ。

本馬の当歳時の動画にて「繋ぎが立っている」と騒がれていたが、ドゥラメンテもそうだったので、血統派としては問題ないと思っている。不安の方は、念のため現在の繋ぎの状態は確認しておいた方が良いだろう。
あとは、なぜキャロット募集へ!?不安はそこだけ。


7. リリーバレロの22

募集価格8000万円 牡 堀厩舎 ノーザンF生産 4/4生まれ
体高154.0cm 胸囲168.0cm 管囲20.1cm 体重400kg
父キタサンブラック 母父ロードカナロア

フレンチデピュティの血を持つキタサンブラック産駒は現2歳馬を除き、9/14頭勝ち上がり。ウィルソンテソーロ、ガイアフォース、コナコーストなどが活躍。特に社台系生産馬に限ると、全6頭勝ち上がり、1頭当賞金5500万円と非常に優秀。

祖母ヴィートマルシェ・半姉サンブルエミューズが優秀な繁殖牝馬だっただけに、母リリーバレロもそれだけのポテンシャルがあっても不思議ではなく、3/4同血のラヴェルのような走りを期待したくなる。母父ロードカナロアであればスピード能力をしっかり伝えるだろうし、スピード補完が必要なキタサンブラックとも相性が良さそうだ。
募集価格をかなり盛られた感はあるが、赤字覚悟なら大物狙いできる1頭。


8. ピュアブリーゼの22

募集価格4000万円 牝 古賀慎厩舎 ノーザンF生産 3/18生まれ
体高155.5cm 胸囲174.0cm 管囲18.8cm 体重416kg
父キタサンブラック 母父Monsun

キタサンブラック産駒はスピードを補完することが非常に重要。本馬にはまったくそれがなく、むしろ重厚すぎるほど。本馬の牝系はドイツ血統であることからも、牝馬は走らない傾向にある。
走ったらごめんなさい。


9. ファナティックの22

募集価格3600万円 牡  辻厩舎 社台コーポレーション白老F生産 2/13生まれ
体高153.0cm 胸囲174.5cm 管囲20.6cm 体重460kg
父サートゥルナーリア 母父ジャスタウェイ

母はNorthern Dancerを持たず、緊張→緩和が綺麗な好配合馬。トニービン、Mill Reafなどナスペリオンの血も持っており、いかにもサートゥルナーリアと相性が良さそうな印象を持つ。

また、父キングカメハメハ系×グレイドフィーヴァー牝系は4/5頭勝ち上がり。牡馬に限れば、全3頭勝ち上がり、1頭当賞金4800万円と相性抜群。これは本馬の6代母SunsetがHornbeam≒Sunset 3/4同血クロスの形になるためで、トニービンと相性が良いのもこれが要因だ。あとは母父ジャスタウェイがどう出るかだけ。

と、血統的に期待したいところだったが、厩舎を見て正直残念に思った。辻厩舎はノーザンFの意向としては良くはなく、現状成績もイマイチ。シルクHC募集でも同じこと書いた気がする。厩舎が問題ないと心から思える方にはオススメできる1頭。


10. クルミナルの22

募集価格7000万円 牡 国枝厩舎 ノーザンF生産 5/1生まれ
体高148.5cm 胸囲169.0cm 管囲19.8cm 体重425kg
父サートゥルナーリア 母父ディープインパクト

母クルミナルの産駒は走る走らないの傾向がきっぱり分かれており、キングカメハメハ・ハービンジャーのように母父ディープインパクトの緩さを増幅させない種牡馬が良い。サートゥルナーリアは緩さを増幅させる種牡馬なのか。筆者としては、多少緩さを伝える可能性はあるが問題ない程度という見立てだ。

また、母クルミナルがLyphard 4×4とNorthern Dancerの濃いクロスがあることで、父母相似配合の観点から、母の競走能力に依存してもまったく問題ない優秀な競走成績というのも魅力。好配合馬とまでは言えないが、母の産駒の傾向から大物が出ても驚けない。

馬体派の方、牧場見学ツアーに行かれる方は「緩さ」について言及することをオススメしたい。しっかりとしたパワーが担保されていれば、走らないリスクはかなり軽減されるだろう。
ピンパーでギャンブル性が非常に高い高額馬。走る走らないのジャッジに自信が持てれば、大物狙いでオススメできる1頭。筆者は「走る」に1票。


11. パルクデラモールの22

募集価格2400万円 牝 鹿戸厩舎 社台コーポレーション白老F生産 3/17生まれ
体高147.0cm 胸囲165.0cm 管囲19.0cm 体重386kg
父サートゥルナーリア 母父ディープインパクト

Privately HeldがNumbered Account、Avianceという名牝系の血を持ち、Sex Appeal≒Numbered Account、トライマイベスト≒Avianceとなる点が好感。Sex Appealの血をいじって締める方向に持っていくは父キングカメハメハ系の牝馬と相性が良く、Avianceの血を持つ父キングカメハメハ系の牝馬は、6/9頭勝ち上がり、1頭当賞金約1600万円。リーディング種牡馬に限ればさらに堅実に走っている。

ただ、本馬の牝系に限っては結果が出ておらず、産駒がピンパーになりやすいという点は大きな懸念材料。また、馬体の小さい母父ディープインパクト、キャロット募集に回ってきた点でも不安がある。見送り。


12. メリートの22

募集価格5000万円 牡 萩原厩舎 ノーザンF生産 2/8生まれ
体高165.0cm 胸囲189.0cm 管囲22.0cm 体重550kg
父ドゥラメンテ 母Redoute’s Choice

今年度のキャロット募集にドゥラメンテ×Redoute’s Choiceの配合が3頭もおり、明らかに狙っていることからまずはその考察をしたい。重要な要素は以下の3点だろう。
①Danehill/②トライマイベスト≒Dancing Show/③Hornbeam≒パロクサイド

①ドゥラメンテ産駒はトニービン特有のトモの緩さを出す傾向にあるためDanehillの血と相性が良い。17/38頭勝ち上がり、1頭当賞金1500万円になる。サウンドビバーチェ、ドゥラドーレス、レヴァンジル、ドゥレッツァが活躍している。

②トライマイベスト≒Dancing Showはドゥラメンテ産駒の成功配合には欠かすことができないSex Appealのクロスが実現する。この血をいじって体質を締めることにより、リバティアイランドなど牝馬の大物が出る配合パターンになる。

③父ドゥラメンテはHornbeam≒パロクサイドのニアリークロスにより活躍した馬。Redoute’s ChoiceもHornbeamの血を持っており、このニアリークロスを継続クロスした形になる。トニービンを経由しないHornbeamの血を持つドゥラメンテ産駒はまだ結果が出ていないが、いつ大物が出てもおかしくない配合だ。


本馬の血統は、3代母Pampas FireがMajestic Prince=クラウンドプリンス全兄弟クロス3×2を持つことから、本馬はKingmambo≒Majestic Prince=クラウンドプリンス 3×5・6の形になる。この配合は力馬や短距離馬が出やすい傾向にあり、父キングカメハメハ系牡馬で結果を残している。現2歳馬を除き、59/131頭勝ち上がり、1頭当賞金約3000万円になる。ドゥラメンテ産駒では6/9頭勝ち上がり、1頭当賞金約2500万円、イグザルト、トップオブジェラスなどが活躍している。

馬格が非常に大きく出たことからもDanehill後躯パワーが強く出ている印象で、ドゥラメンテ産駒でもクラシック戦線という感じではなく、パワー型の芝短距離馬~マイラーになるだろう。亀谷氏が主張するように「ドゥラメンテはオセアニア繁殖と好相性」なのは見逃せず、本馬もリバティアイランドやドゥレッツァなど大物になる可能性十分。

萩原厩舎だと曰く付きの可能性が気になるだけに、堅実に走る保険があるのは非常に大きな安心感。この募集価格でも前向きに出資検討してみたい1頭。


13. レオパルディナの22

募集価格4000万円 牝 鹿戸厩舎 社台コーポレーション白老F生産 1/24生まれ
体高156.0cm 胸囲174.0cm 管囲19.4cm 体重449kg
父ドゥラメンテ 母スニッツェル

ドゥラメンテ×Redoute’s Choiceという注目の配合2頭目。本馬の母父スニッツェルはHornbeamのクロスを持ち、Hornbeam≒パロクサイドの継続クロスをさせている点が好感。

本馬の配合は、3/4 Northern Dancer、緊張→緩和の形が綺麗な好配合馬。本馬の牝系はKingmamboの血と相性が良く、ユアヒストリー、テイケイレーヴ全2頭とも活躍している。

あとは繫殖牝馬のポテンシャルだけ。正直これが一番の悩みどころ。個人的には悲観的に見ており、危機回避的な意味で見送り。


14. シングルゲイズの22

募集価格5000万円 牝 木村厩舎 ノーザンF生産 1/26生まれ
体高154.0cm 胸囲170.5cm 管囲19.6cm 体重413kg
父ドゥラメンテ 母Not A Single Doubt

ドゥラメンテ×Redoute’s Choiceという注目の配合3頭目。本馬の母はHornbeamのクロスを持ち、Hornbeam≒パロクサイドの継続クロスをさせている点が好感。ドゥラメンテはオセアニア繁殖と好相性であることから、リバティアイランドやドゥレッツァなど大物になる可能性十分。

本馬の牝系にはナスペリオンの血を多く持っており、ドゥラメンテと相性が良さそうな血が多いのが魅力。例えば、Temperence Hillの血を持つドゥラメンテ産駒は全2頭勝ち上がり、アリーヴォが活躍している。また、Vainの血はトニービンと相性が良く、ドゥラメンテ産駒はいないもののトニービンの血を持つ種牡馬全3頭であるハーツクライ産駒が全頭勝ち上がり、しかも全頭牝馬でのもの。レティキュールが活躍している。

一番の不安材料は、母の繫殖牝馬としてのポテンシャル。まぁそこが一番の懸念点だったりするわけで、小柄に出ている点からもDanehill後躯パワーが伝わっていない可能性も考えられる。個人的にはかなり悲観的に見ており、危機回避的な意味で見送り。

P.S.
もし、Wiskey Roadの血を持つからドゥラメンテと合うという血統評論を見つけたら、「血統のこと何も分かっていない人」だなぁと思ってあげてください。トニービン×ストロベリーロードのニックス配合で重要な血はそこじゃない。


15. ミリッサの22

募集価格5000万円 牡 鹿戸厩舎 ノーザンF生産 3/3生まれ
体高152.0cm 胸囲174.0cm 管囲20.1cm 体重431kg
父モーリス 母父ダイワメジャー

父モーリス×シンハリーズ牝系はストゥーティ、セブンサミット全2頭とも活躍している。シンハリーズの良さが伝わっている印象があり、母父ダイワメジャーであれば同様の結果が出てもおかしくない。

ただ、シンハリーズ牝系は牡馬<牝馬の傾向が強く、牡馬>牝馬の傾向が強いモーリス産駒であっても変わらないほど。それだけに大物感に課題が残る。この募集価格では手を出しにくい。


つづく