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元美浦トラックマンの競馬血統ブログ

【血統考察】関西馬No.51~65 キャロットクラブ 2023年度募集

2023.08.25 15:15

本ブログを多くの方に読んでいただいているようで、嬉しい言葉もかけていただきありがとうございます。今年は種牡馬・厩舎の見解をお伝えすることを意識して書いてみました。その結果、未完成ながらすでに35,000文字を超える修士論文並みのボリュームになりました。これを広告なしで無料提供するのも血統派の普及のためです。
血統に少しでも興味をもっていただき、馬選びの参考になれば幸いです。
ついでに配合コンサルタントのお仕事もお待ちしております。


51. ビートマッチの22

募集価格5000万円 牡 友道厩舎 ノーザンF生産 4/29生まれ
体高154.0cm 胸囲175.5cm 管囲20.9cm 体重466kg
父エピファネイア 母父ルーラーシップ

母がKingmambo≒ジェイドロバリー 3×3を持ち、エピファネイア産駒の緩さを締める血をしっかり持つ。父エピファネイア×母父ルーラーシップという配合も全4頭とも新馬戦勝利と相性も良く、今後大物が出てもおかしくない配合だ。全姉ミントは気性的な問題で結果が出ていないだけで、全姉の成績だけで軽視するのは早計だろう。

エピファネイア産駒×友道厩舎は5/6頭勝ち上がり、大物はまだ出ていないが、サトノヘリオスが活躍。先週のジュンゴールドも今後の活躍を期待したくなる勝ち方だった。エピファネイア産駒牡馬なら中長距離で活躍させたいところで、友道厩舎のCWコース主体の調教はいかにも合いそうな印象を持つ。

唯一の不安点は友道厩舎の馬房確保だけ。超有力馬が揃う個人馬主から懇意にされている厩舎でそちらを優先せざるを得ない事情があるだろう。期待されなかった時の扱いは覚悟しておきたく、数戦して転厩まである。そんなこともあってか、友道厩舎×ノーザンF関連クラブの成績は近年下がってきており、活躍馬はセレシオン、ルペルカーリアくらいだ。

血統を評価していただけに、厩舎に対して少し残念に思ったのが正直なところ。もちろん厩舎自体は素晴らしいので、純粋な心を持っている方にとっては大物狙いできる1頭。筆者は...。


52. ソートアフターの22

募集価格4200万円 牝 新規開業厩舎 オリオンF生産 5/12生まれ
体高156.0cm 胸囲175.5cm 管囲20.5cm 体重442kg
父エピファネイア 母父ディープインパクト

セレクトセール2023 1歳にて3630万円で落札。
祖母ジャズプリンセスは愛GⅢ2勝。父エピファネイア×母父ディープインパクトは締める血が特に重要になるが、そのような血がなく、むしろ柔らかいナスキロの血が目立つ。祖母が芝7fで活躍した馬でもパワーを増幅させる血も少ない。手が出ない。


53. キャンプロックの22

募集価格6000万円 牡 安田翔厩舎 ノーザンF生産 2/4生まれ
体高154.0cm 胸囲172.5cm 管囲19.6cm 体重425kg
父キズナ 母父Myboycharlie

セレクトセール2023 1歳にて5060万円で落札。
Danehillの血を持つキズナ産駒は13/29頭勝ち上がり、1頭当賞金約2000万円。ノーザンF生産馬に限ると、4/6頭勝ち上がり、1頭当賞金約3300万円、オールザワールド、キャリックアリード、ショウナンアレクサが活躍している。

しかし、総賞金上位馬の牡馬すべてSir Ivorの血を持っており、本馬はその血がない点で大きなマイナス。Sadler’s Wellsの血でも同様のことが言え、キズナ産駒牡馬が重厚な欧州血統で走るにはAlzaoをいじる血が必須なのだろう。
キズナ産駒のもう1つ重要なStorm Catの血を増幅させる血もなく、スピード不足を露呈しそう。手が出ない。


54. ミスティークⅡの22

募集価格3600万円 牝 須貝厩舎 ノーザンF生産 4/19生まれ
体高153.0cm 胸囲174.0cm 管囲19.6cm 体重415kg
父キズナ 母父Monsun

セレクトセール2023 1歳にて2750万円で落札。
Monsunの血を持つキズナ産駒は全5頭勝ち上がりと相性が良いが、Monsunの血を持つキズナ産駒の活躍馬は牡馬のみだ。また、Sadler’s Wellsの血を持つキズナ産駒はSir Ivorを持つことが活躍することが多い。スピード不足を露呈しそうだ。

母ミスティークⅡの産駒は、Monsunの揉まれ弱さを強く伝える印象があり、前受けできるスピードがないと出世は厳しい。上記のような懸念点がある以上は手が出ない。


55. アディクティドの22

募集価格6000万円 牡 高野厩舎 ノーザンF生産 4/28生まれ
体高150.5cm 胸囲168.5cm 管囲20.2cm 体重423kg
父ロードカナロア 母父Diktat

「3/4 Northern Dancer、1/4 ドイツ異系」の形、Nureyev≒Sadler’s Wells 5×4持ちの牡馬というロードカナロア産駒の成功配合。Sadler’s Wellsの血を持つロードカナロア産駒牡馬は23/46頭勝ち上がり、地方・海外除き1頭当賞金約4000万弱、パンサラッサ、サートゥルナーリア、ダノンスコーピオン、キングオブコージなどが活躍している。
また、母がドイツ牝系・Sadler’s Wellsの血を持つことから、母の産駒は牡馬>牝馬の傾向が非常に強い。クルーガー、サクセッションのように活躍しても驚けない。

高野厩舎は栗東坂路でしっかり追う調教パターンのため、ロードカナロア産駒と相性が良さそうな印象を持つ。現状ではロードカナロア産駒では結果が出ていないが、ノーザンF生産馬を預かる機会もなかっただけと考えたい。

母も高齢になり、ヴェルナーの大コケもあって、産駒の勢いに陰りが出ていないかだけが不安。そこさえ目を瞑れれば、大物狙いしたくなる1頭。


56. チャイマックスの22

募集価格4000万円 牝 清水久厩舎 ノーザンF生産 2/5生まれ
体高158.0cm 胸囲177.0cm 管囲21.0cm 体重453kg
父キタサンブラック 母父Congrats

Storm Catの血もキタサンブラック産駒と相性が良いわけでもなく、配合的に特段強調材料はない。キタサンブラック産駒は母がコテコテの米国血統だとダートに出る可能性が高い。
ダート牝馬でこの募集価格では見送り。


57. ハープスターの22

募集価格1億2000万円 牡 池添学厩舎 ノーザンF生産 2/25生まれ
体高153.0cm 胸囲175.0cm 管囲20.0cm 体重428kg
父サートゥルナーリア 母父ディープインパクト

本馬はNureyev≒Sadler’s Wells=Fairy King 4・6×4(Northern Dancer 5・6・7・7・7・9×5・5・6)、Secretariat=Syrian Sea≒Sir Gaylord 5・5・6×7、サンデーサイレンス 4×3というサートゥルナーリアの鍵となる血を増幅させた父母相似配合。父母相似配合は母の競走能力に依存する。母ハープスターなら文句なしに大物感十分。

祖母ヒストリックスターの系統は牡馬<牝馬の傾向があり、牡馬はファルブラヴの重厚さが強く出る点がどうか。締める血はしっかりあるので、重厚さを緩和させるためにも「柔らかさ、緩さ」がある方が良さそう。馬体派の方、牧場見学ツアーに行かれる方はその辺を確認した方が良いだろう。
募集価格が高額すぎて敬遠。大赤字覚悟で夢を追ってみるのも良いだろう。


58. ダイワプロパーの22

募集価格5000万円 牡 大久保龍厩舎 静内フジカワ生産 4/18生まれ
体高152.0cm 胸囲170.5cm 管囲19.8cm 体重441kg
父サートゥルナーリア 母父ダイワメジャー

北海道セレクションセール2023 1歳にて3850万円で落札。
母ダイワプロパーはレーヌミノルの全姉。HaloやRaja Babaの捌きが魅力で、父キングカメハメハ系は合わない印象。実際、本馬の牝系は父キングカメハメハ系で結果が出ていない。

大久保龍厩舎はあのムキムキな馬体の想像通り、父キングカメハメハ系牡馬は圧倒的にダートが走る。アドマイヤハダルのように柔らかすぎる配合の馬を活躍させるほどなので相当パワーを付けるのだろう。サートゥルナーリア産駒とは合わない。
配合的に特段強調材料がなく、血統×厩舎も微妙で見送り。


59. リカビトスの22

募集価格6000万円 牡 中内田厩舎 ノーザンF生産 3/16生まれ
体高152.5cm 胸囲175.5cm 管囲20.0cm 体重432kg
父ドゥラメンテ 母ディープブリランテ

エンドスウィープの血を持つドゥラメンテ産駒は4/10頭勝ち上がり、クリーンスイープ、タッチウッドが活躍している。結果を残した2頭ともノーザンF育成馬だ。エンドスウィープの母父Dance Spellの3代母Persian Maidは、名繁殖Mixed Marriageの母であり、Sharpen Up・Gone Westのニックス配合の源となる血だ。それだけにドゥラメンテ産駒と合わないはずがなく、今後大物が出てもおかしくない。

また、祖母エンシェントヒルがフォーティナイナーとBest Turnを通じるナスペリオンのクロスを持ち、産駒にその血を強く伝えていることから、父キングカメハメハ系との相性は悪くなさそう。あとは母父ディープブリランテがどう出るかだけ。

ドゥラメンテ産駒×中内田厩舎ももちろん相性抜群、全6頭勝ち上がり。重賞勝ちすらない母リカビトスの初仔を奥村武厩舎に預託し、2番仔が突然の中内田厩舎とは驚き。中内田厩舎も超有力馬が揃う個人馬主から懇意にされている厩舎。これで走らず転厩になるのなら、そもそもアワブラ馬を最初から預けないだろう。もうこれ「走る」って書いてあるやん。
ヒット~ホームランまで狙える1頭。書いているうちに欲しくなってきた。


60. キラーグレイシスの22

募集価格6000万円 牝 斉藤崇厩舎 ノーザンF生産 2/12生まれ
体高151.5cm 胸囲176.5cm 管囲19.5cm 体重443kg
父ドゥラメンテ 母Congaree

どんな種牡馬でも堅実に走る優秀な繫殖牝馬。ドゥラメンテ産駒と相性の良いSharpen Up・Gone Westの鍵となるMixed Marriageの血をKnown Fact経由で持つ。Known Factの血を持つドゥラメンテ産駒にはスコールユニバンスが活躍している。

母がコテコテの米国血統なだけにダート馬になる可能性が高い。それでも母が米国G1馬と競走能力が高く、繁殖牝馬のポテンシャルも高いだけに、ダート牝馬でも結果を残しそう。あとは募集価格を超えるほどの活躍ができるか。堅実に走る保険があれど、割高感は否めない。


61. フォトコールの22

募集価格6000万円 牝 渡辺厩舎 ノーザンF生産 3/15生まれ
体高159.0cm 胸囲174.5cm 管囲19.8cm 体重427kg
父ドゥラメンテ 母父Galileo

Sadler’s Wells、Danehillの血とは相性が良いが、母父Galileoはさすがに重厚すぎる。また、Sadler’s Wellsの血がニックス配合となるドゥラメンテ産駒・ロードカナロア産駒で走るのはほとんど牡馬だ。さすがにこの募集価格では手が出ない。


62. マラコスタムブラダの22

募集価格7000万円 牝 松下厩舎 ノーザンF生産 3/15生まれ
体高154.5cm 胸囲174.0cm 管囲20.0cm 体重433kg
父ドゥラメンテ 母父Lizard Island

堅実に走るポテンシャルの高い繫殖牝馬。ドゥラメンテ産駒と相性の良いSadler’s Wells、Sharpen Upの血を持ち、母はNumber≒Sadler’s Wells 3/4同血クロス3×3を持つ。一見良さそうに見える血統構成だが、Sadler’s Wellsの血がニックス配合となるドゥラメンテ産駒・ロードカナロア産駒で走るのはほとんど牡馬だ。

ちなみに、Sadler’s Wellsの血を持つ父キングカメハメハ系牝馬の総賞金上位5頭は、アールドヴィーヴル、ブランノワール、アヌラーダプラ、ファーストフォリオ、ブッシュガーデン。重賞勝ち馬はいない。
◆地方・海外を除き、Sadler’s Wellsの血を持つ父キングカメハメハ系の成績◆
 牡馬 102/246頭勝ち上がり、1頭当賞金約2400万円
 牝馬  71/219頭勝ち上がり、1頭当賞金約900万円


母マラコスタムブラダの産駒の場合は、牡馬だと鈍重に出やすいことから、シンハリーズ・リリサイドなどとイメージが被る。牡馬<牝馬の可能性がありそうだが、上記のニックス配合が牝馬でも通用するとは現状では考えにくい。

上記の仮説の正誤で期待値が大きく変わる1頭。この募集価格ではギャンブルできず、後ろ髪を引かれながら敬遠。血統派としては悲観的すぎる見解かもしれない。


63. エリティエールの22

募集価格4600万円 牡 武幸厩舎 ノーザンF生産 2/27生まれ
体高157.0cm 胸囲180.5cm 管囲21.4cm 体重478kg
父モーリス 母父ディープインパクト

ノーザンテースト≒Vice Regent 5×5とパワーを増幅した配合。Vice Regentの血を持つ父モーリス×母父ディープインパクトは3/4頭勝ち上がってはいるものの、大きな活躍はできていない。大物になる根拠がなく、配合的な魅力に欠ける。見送り。


64. フィニフティの22

募集価格4000万円 牝 藤原英厩舎 ノーザンF生産 1/30生まれ
体高157.0cm 胸囲177.5cm 管囲20.4cm 体重458kg
父モーリス 母父ディープインパクト

モーリス×ゴールドティアラという注目の配合2頭目。Chief’s Crownの血を持つ父モーリス×母父ディープインパクトは3/4頭勝ち上がり、ルークズネストが活躍。唯一の未勝利はディオファントス(涙)。

ノーザンテースト≒Vice Regent 5×6とパワーを増幅したモーリス産駒牝馬はあまり評価できない。モーリス産駒の牝馬は見送る方針で見送り。


65. ローガンサファイアの22

募集価格3600万円 牝 高橋亮厩舎 ノーザンF生産 2/23生まれ
体高153.0cm 胸囲172.0cm 管囲19.8cm 体重433kg
父レイデオロ 母父ダイワメジャー

祖母ダークサファイアがEight Thirty≒Good Example 5×6を持つことから、この牝系とは北米パワーを増幅する配合が走る。父キングカメハメハ系とは相性が良くなく、父レイデオロにも北米パワー増幅の血がない。
特段強調材料はなく、ノーザンFの意向も微妙。走ったらごめんなさい。


つづく