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ツダ ケイタロウ

職人のシゴト。

2016.01.22 05:41

以前、ロレアル主催のイベントに参加した際に、こんな人物のトークセミナーを拝聴した事があった。


『職人社 秀平組  


挾土 秀平【はさど・しゅうへい】


左官技能士。


普段は、近代的な建設物や個人住宅の壁塗りを行う傍ら、日本の伝統な土蔵から茶室等を行う。

東京の一流ホテルのエントランスロビーまで、

天然の土と素材を使った独自の世界の塗り壁づくりは、モダンかつ斬新で、

他に類がなく日本全国に活躍の場を広げている。

また、左官職人にこだわらない新しい手法を試み、

自然に還るものだけを使った空間や作品を、数多く発表し、画廊、ギャラリーによる個展活動も含め、

幅広い活動を展開している。』


とにかく話も内容も面白く、90分間があっという間だったのですが、その中から1つのお話をピックアップ。



左官の仕事の中でもいわゆる『ガワ』の仕事。


魅せるための芸術性の高い仕事をワールドワイドにやっていく中で、海外でパフォーマンスをする事があった。


言葉も通じない、説明もない中で高い技術を見せなくてはいけない。


そんな中、初めににパフォーマンスしたのは本当に細かく、繊細な技術を必要とするようなモノだった。


まぁー、コレが反応がイマイチ。


伝わらなかった。


色々試行錯誤し、その結果たどり着いた『伝わる』技術は結局のところ…、


『スピード』


「なぜそんなに手さばきが美しいんだ!」

「なんてスピーディーに壁をつくれるんだ!」

「仕事中にも道具が整理されていてなんてキレイなんだ!」


ココにみんなが「Amazing!!」と感動したそうな。


言葉なし、技術のみで人を惹きつけようと思ったらこれ以外はなかった。


キレイな仕事、細かい仕事って言うのはそんなもの見る人からすれば「当たり前」の事だった…。


美容師の仕事も全く同じ。


お客さまからすれば、技術なんて上手くて当たり前。出来て当たり前。


カウンセリングでデザインが決まったのであれば、設計図通りに進めていくコトをいかにスピーディーに美しく心地良く出来るか。


そこに初めて価値が生まれる。


だから「丁寧な仕事」=「時間をかける」はありえない。絶対に。


手が速くなくてもいい、手さばきが良ければ仕上がりは速い。


丁寧で無駄がないからこそ、仕事は「速い」のだ。


年配のお客様(美容室に通う経験の長いお客様)ほど、これは良く知っていること。


例えば大きな手術だったらどうでしょう?


担当のお医者さんが「丁寧な仕事を心掛けたので、出血多量で死んじゃいました。」なんて、通用するわけないですね。


プロの仕事には必ず「期限」が存在するというお話でした。