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Waiiha Picturesque

雅さと 奥ゆかしさ

2023.08.11 11:05

八月十一日 金曜日。山の日であり旗日である。

いつまで、続くのか酷暑の日々。


日本の夏は、何処に行ってしまったのか?

そんな、ため息をつく昼下がりのこと。

郵便受けに、良子様宛てに封筒が届いていた。


手書きの宛名から日本人の忘れている優しさが浮かぶ。

祖父は、漢文を熟知していたようなので「字・書」で、

生計を立てていた。


字は心を表す。字は人柄を表す。丁寧な中に可愛らしさが

感じられる。心のこもった字。


封筒の中から「暑中お見舞い 申し上げます。」の一文。

基本となる例文が、痛み入る。

立体的な屛風絵は、京都の夜景を金色で煌びやかに表して、

花火が打ちあがっている。五重の塔と川と屋形船。


二十年前、八月の京都を訪れた。とても暑い日だった。

この時期の記憶だけは曖昧ではあるが、東寺辺りの画廊か

ギャラリーに展示されている自分の作品を見に行くために、

ふたりで、京都を訪れていた。

夜になって、川床を味わった。

京都は、目で見える「涼」に優れていると感心をしていた。


そして、今夜も、風鈴の音もしない熱帯夜のようだ。

カウンターの上に飾った「雅な屛風絵」を眺める。

心なしか、夏の夜風を感じている。

きっと、この風は、九州の方から送られてきているようだ。