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A.Hashimoto's blog

『両棲人間一号』

2023.08.27 09:53

もう一度読みたいと思いつつ、どのくらいの年月が経っただろう。最後の2行に号泣した時の私は中学生になっていたのか、小学生の高学年だったか。それ以前に読んだ本、それからも読んだ夥しい本にたくさん影響を受けて大人になった。本を持たずに電車にも新幹線にも乗れない日々、本を新たに読み続けていて、それでもまだ読んでいなくて読むべきと思う書籍は無数にある。ひとの本離れが言われて久しいが、そうなの?と思う。大型書店に行ってみれば「困ったなあ」と苦笑いしそうになるくらいたくさんの、魅力的な本が並んでいる。新刊本が毎日数百冊出るのだとか。本好きは忙しい。それでもずっと頭のどこかで『両棲人間一号』をもう一度読みたい、と思っていた。そして、やっと手にできた。

大型書店での検索では「ありません」となり、図書館巡りをする時間も無い。そうなると今の時代はSNSを頼るしかない(どこか後ろめたいのだが、なぜだろう?頑固なだけか)。素直にパソコンに向かうと直ぐに古書、でヒット。一冊だけある、とのことだった。8,140円だそうだ。高いなあ。でも、その書店がとても遠い町にあることがなぜか気に入った。地方都市の小さな古書店で、しかも電話ください、とのことで、メールでは連絡が取れない。その電話もなかなかつながらない。あ、お盆休み中だ。そしてついに電話に出たご主人が「Faxしてください」だった。…、わかりました。でもそのFaxがなかなか入って行かない。何かもチャレンジしてやっと注文が飲み込まれて行った。確認のために電話をすると何回目かの電話でつながって、そしてやや高齢と思われる男性の声で「確保してあります」とのこと。倉庫から探してくれたのだろうか。それから郵便局で振込が完了して、SNSで見つけてから10日ほどで両棲人間一号くんは私の手元にやってきた。

ページは茶色に変色していたが、表紙をしっかりとビニールのカバーで包んであった。世界科学・探偵小説全集(8)『両棲人間一号』ベリャーエフ作/北野 純、偕成社。奥付の定価290円に少し笑ってから、最初のページを開いた。