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物語の食卓 夏 第三話 大きなかぼちゃのパイ

2023.08.28 11:34

皆さまへ

このたび、とても素敵な企画にお声をかけていただきました。

童話作家安房直子さんの作品からイメージを広げる企画「物語の食卓」です。

お声をかけてくださったのは、安房直子さんの作品をこよなく愛されているネムリ堂さんです。

ネムリ堂さんは、安房直子さんの作品を様々な視点から取り上げてご紹介してくださっています。

私ですが、以前アロマテラピーのワンテーママガジンで香りと文学をテーマに連載をしていました。

その中で安房直子さんの作品を取り上げた折に、久しぶりに読み返したのですが、作品によってですが、西洋の童話のような雰囲気が醸し出されていながら、日本の野山の自然風物が自在に取り入れられて描かれているところに、改めて新鮮さを感じました。

また、野山の恵み、海の恵みなどがふんだんに使われた料理やお菓子の美味しそうなことに、食いしん坊心が大いに動かされました。

今では、すっかり、安房直子さんの作品に魅了されていますので、今回の企画は心より楽しみたいと思っています。

皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。

アイダミホコ

では、まずは、今回のコラボ企画について、ネムリ堂さんにご説明していただきます。


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このブログは、 アイダミホコさんのブログ、ネムリ堂のブログ の、童話作家 安房直子さんの作品に登場するお料理をめぐる、安房直子さん生誕80周年のコラボ企画です。

安房直子さん(1943~1993)は、日本女子大学在学中、北欧文学者、山室静氏に師事、同人誌『海賊』に参加、「さんしょっ子」で、第3回日本児童文学者協会新人賞を受賞。「きつねの窓」「鳥」「初雪のふる日」などが、小・中学校の教科書に採用されています。

初期の幻想的で謎めいた作品から、動物たちが活躍する晩年のあたたかなお話まで、没後30年経った今なお、新しい読者を獲得し続けています。

代表的な著作は、偕成社からの選集『安房直子コレクション』全7巻、瑞雲舎『夢の果て』など。

豊島区東長崎の雑貨店、Planethand さんの安房直子さん企画展、幻の市でご一緒したご縁で、このコラボ企画は産まれました。

アイダさんに、安房さんのお料理を再現していただき、スタイリッシュでお洒落なお写真におさめていただくという、贅沢な企画です。

その写真に、アイダさん、ネムリ堂双方が、思い思いの短い文章をそえたブログを同時公開、今年の秋には小さな冊子にまとめる、という計画をしています。

一年間を通して、15の食卓の連載を予定しています。

どうぞ、おたのしみに!! (ネムリ堂)


***


「だんまりうさぎと大きなかぼちゃ」 偕成社 1984年


 安房直子さんの物語には、山菜とともに畑で収穫される野菜も多く出てきます。

 安房さんは、夏を軽井沢で過ごされていました。軽井沢は長野県にあるということで、高原野菜をはじめとした野菜畑を目にすることも多かったのではないでしょうか。

 秋に軽井沢に出かけた時に、軽井沢高原文庫のある塩沢湖に向かう途中の畑に、ごろん、ごろんと、転がっているかぼちゃを車窓に見ました。

 大自然を実感させてくれる雄大な浅間山を背景に、人が開墾して生みだした畑の恵みを目にして、そこに自然の中での人の営みが垣間見えてその対比が面白かったです。

 かぼちゃといえば、日本の家庭では、冬至にいただく小豆と南瓜のいとこ煮、芋蛸南瓜の炊き合わせ、南瓜の天ぷらなどが思い浮かびますが、だんまりうさぎのお話では、おしゃれなパイになって登場します。

 

 以前アロマテラピーのワンテーママガジンで児童文学と香りについて執筆しました時に、「大草原の小さな家」シリーズを取り上げました。このローラ・インガルスの物語には、さまざまなイベントの特別なごちそうとしてパンプキンパイが登場します。

 畑仕事に携わっていた人たちが集う大にぎわいのイベント収穫祭や、クリスマスやダンスパーティーの時の人々の輪のまん中に、堂々たるごちそうとしてかぼちゃのパイが食卓を飾っていました。

 煮つめてこっくりとしたかぼちゃや、バターをたっぷり塗ってすくいながら食べるオーブンで焼いたかぼちゃなど、栄養満点で畑仕事など、かぼちゃは力仕事の多い開拓地の人々の力のもとになるごちそうだったのです。


 さて、一般家庭での「お招き」「およばれ」文化が普及したのは昭和40年前後からとされています。

 安房さんの作品に招待状を送るような「お招き」「およばれ」がしばしば描かれているのは、このような文化背景があるのではないでしょうか。

 子どものお誕生日会が盛んになったのもこの頃のようで、ホームパーティーを楽しむゆとりが高度成長期の一般家庭に出てきたということなのでしょう。


 夢の中でもよいので、安房さんの物語の世界に入り込んで、招待状をもらっておよばれされたら、きっととってもわくわくするでしょうね。


 安房直子さんの『だんまりうさぎと大きなかぼちゃ』のネムリ堂さんの考察は、ブログでご覧いただけます!

 ネムリ堂さんsideのブログは、こちら→安房直子的世界