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俳句の添削

2023.08.29 05:48

http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2020/06/post-36c6.html 【俳句の添削《作者の「思い」を生かしてほしい》】より

 俳句のTV番組を見ていると、原句を推敲して良い俳句にするためとはいえ、選者が作者の意図と違う句意に添削するのは如何なものかと疑問に思うことがあります。  

俳句も自己実現する芸術の一つですから、俳句の選者は作者の個性を尊重して、添削の手助けをするように配慮してほしいものです。 

最近の一例を挙げると、毎日TVの人気俳句番組「プレバト」で、梅沢富男永世名人が夏芝居を詠んだ俳句を夏井先生が歯切れよく添削して原句を「ボツ」にしました。

(原句)

・おひねりや 子役の見得に 夏芝居

(添削後)

・おひねりの 飴よ硬貨よ 夏芝居

  

梅沢さんは「子役」の演技が上手なので観客が感動して子役の「見得」に「おひねり」を投げたことを俳句に詠んでいるのですが、

添削後の俳句ではその原句の句意が不明瞭です。

夏井先生は、「飴よ硬貨よ」と表現すると子役に「おひねり」を投げているのは明瞭だと言っていますが、「飴」は子役に投げるものという習慣でもあったのでしょうか?  

実態を知らない読者は、添削後の俳句は「おひねり」の面白さを詠んだ俳句と解釈するでしょう?  

原句の「や」は切字ではなく詠嘆として使っているのでしょうが、この俳句の場合は不適切です。 

俳句に助詞「は」を用いるのは良くないと一般的に言われますが、この句の場合は「や」を「は」に変えて、次のように添削すれば原句の句意が明瞭になるのではないでしょうか?

 

・おひねりは 子役の見得に 夏芝居

      

プレバトはエンタテイメント性があるので、夏井先生は大衆受けを狙って大幅な添削をしているのでしょうか?

それとも、助詞「は」を用いることを嫌ったのでしょうか?

助詞「は」を用いることによって、「や」を用いている原句より「子役の見得」が強調され、読者は子役の演じた芝居の「演目」や「子役の見得」をあれこれ想像するのではないでしょうか? 

いずれにせよ、

「俳句は詠み人次第・読み人次第」です。

俳句は好き好きです。

楽しむことが先決でしょう。 

プレバト俳句に出演のタレントの方々は夏井先生が「絶対」でも「神様」でも「仏様」でもないことを承知のことでしょうが、「幸運の女神」に祈る気持ちなのか、「判定」を待つ皆さんのジェスチャーは一様です。

この「祈るジェスチャー」も「感嘆の声」も番組を盛り上げるための「やらせ」なのでしょうか?   

この記事が「俳句HAIKU」の読者やプレバト視聴者など、俳句に関心のある方々の何らかの参考になれば幸いです。

http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2020/02/post-ff60.html 【「初鏡」と「小春の鏡」(プレバト俳句の推敲)】より  

人気絶頂の俳句番組「プレバト」の夏井先生の添削は「上手い」と感心することが多々ありますが、「どうかな?」と思う推敲・添削も時々あります。

12月5日に放映された金子恵美さんの俳句の添削で、夏井先生は「小春日や夫も鏡に試着室」を「夫という鏡小春の試着室」に修正していますが、  

「鏡」には「模範」という意味もあり、作者の意図からすると、夏井先生のこの添削は「どうかな?」と疑問が湧きます。  

むしろ、助詞の「も」を「を」に替えるか、「試着室」を「試着」に替えて、次のように修正すると作者の意図していることがすっきり表現出来るばかりでなく、小春日の夫婦の円満ぶりがイメージに浮かび良いと思います。

・小春日や夫を鏡にして試着

・小春日や夫も鏡にして試着   

前者は鏡に映して自分で判断するよりも夫の判断を大事にしているニュアンスがありますが、

後者は、鏡に映して自分で判断するばかりでなく、夫の意見も聞いている仲良し夫婦の情景が浮かびます。

もし、お題の「試着室」を用いなければならないのなら、次のように修正したらどうでしょうか? 

・試着室夫を鏡にして小春

・試着室夫も鏡にして小春 

俳句は「詠み人・読み人」を映す面白い鏡だと思っていますが、貴方なら、どう添削しますか?  

夏井先生の揚げ足を取るつもりではなく、「俳句の裾野を広げたい」という夏井先生と同じ思いで、及ばずながらプレバト視聴者の俳句の推敲・添削の参考になれば幸いだと、この記事を書きました。


https://jphaiku.jp/how/suikou.html 【推敲とは?】より

 推敲とは俳句の質を高めるために、字句を吟味して練り直すことです。

閑さや岩にしみ入る蝉の声

 これは『奥の細道』に収録されている松尾芭蕉の名句です。

 芭蕉が元禄2年5月27日(1689年7月13日)に山形市立石寺を訪れ、岩に岩を重ねたような山姿を目の当たりにし、その静寂に心が澄み渡っていくような心境を句にしたものだとされています。

 彼はこれを一発でひらめいて書き残した訳ではありません。

山寺や石にしみつく蝉の声

淋しさの岩にしみ込むせみの声

さびしさや岩にしみ込む蝉のこえ

 といった、試行錯誤段階の句も残されています。

 現存するだけでも4つの別バージョンの句が存在することから、芭蕉が山寺の麓の宿に逗留しながら、たくさんの失敗作を作って、これも違う、アレでもない、と悩み抜いたことがうかがえます。

 名句という先入観があるにしても、「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」の方が、下記の3つの句より、山寺の静寂に満ちた情景や物悲しさが伝わって来ると思います。

 ちょっとした言葉の変更によって、句全体のイメージや質が大きく変るのです。

 推敲という言葉の語源は、中国の唐詩紀事に収められた次のエピソードにあります。

 唐の中頃の時代、賈島(かとう)という男がロバにゆられながら、詩の創作に夢中になっていました。

 彼は「僧は推す月下門」という句を思いついたのですが、途中から「僧は敲く月下門」の方が良いのじゃないのかとも考え始めました。

 どちらにしようか迷って、ロバの背で門を推したり敲いたりする仕草をしていたところ、前方不注意で、長安都知事、韓愈(かんゆ)の行列に突っ込んでしまいました。

  賈島は役人に捕らえられて、韓愈の前に引き立てられ、非礼をわびて事情を説明しました。

 韓愈は、詩人としても名高い人だったので、「それは君、『敲く』のほうが良いな。月下に音を響かせる風情があって良い」とアドバイスしました。

 これをきっかけに二人は意気投合し、二人は詩について論じあったそうです。

 この故事を元に、詩や文章を吟味して手直しをすることを『推敲』と呼ぶようになったのです。

推敲のコツ

 俳句が出来上がったり、推敲で手直しした後、一日時間をおいて、再度、声に出して読んでみると良いです。

 時間を経過させることで、より客観的に自分の作品を見直すことができ、欠点に気づきやすくなります。

 この際、声に出してみることで、リズムの善し悪しも吟味できます。

 俳句は音楽的要素も強いので、耳に心地よく響くかどうかも重要です。

 松尾芭蕉は、次のように述べています。

 句調はずんば舌頭に千転せよ。

「句の調子がうまく整わないときは、千回は口ずさんでみなさい」

 という意味です。

 句が耳にどのように聞こえるか、その音楽性を芭蕉は重視していたわけですね。

 また、推敲段階で浮かんだ句は、芭蕉のように消さずに残しておき、後で見比べられるようにしておくことをオススメします。

 もしかすると、最初に浮かんだ句や、手直しする前の句の方が、推敲した後の句より質が高いかも知れないからです。

やり過ぎに注意

 小説などでも文章の推敲を行なうのですが、作家の中には後書きで、「たった一行の文章をこねくり回して、気がついたら一日が経っていました」と告白する人もいます。

 文芸には、これで100点満点という線引きが無いので、より高い質の句を目指して、永延と推敲を続けることができます。

 賈島が韓愈の助言を受けて「僧は敲く月下門」にしようと決めたのに、「いや『僧は蹴る月下門』の方が良いんじゃないか? いらだつ感じが出る」などと考えて、悩み続けるようなものです。

 下手にこねくり回した結果、当初の良さが消えて、質が悪くなることもありえるのです。長く推敲を続ければ、質がドンドン向上するといった保証はありません。

 時間も有限ですので、ある程度、推敲をしたら、切り上げる必要があります。


https://jphaiku.jp/wp/2019/04/02/4134/ 【上手な俳句ができる!推敲の5大ポイント】より

1・季語のチェック

季語を別の物に置き換えをしたほうが良いか?

無季語俳句の場合、本当に季語を必要としないか? 入れる余地がないのかを検討

季語の説明をしていないか ?

2・言葉、語彙のチェック

語彙の重複はないか? 重複表現は削る。

語順の入れ替えを試みる。

常套句・手垢の付いた語句がないか?

漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・数字などの表記が効果的か?

声に出してみてリズム感があるか?

助詞の使い方は適切か?置き換えてみる

3・切れ字のチェック

切れ字を2つ使用していないか?

切れ字を本当に必要としているか?

4・その他、基本のチェック

字余りは上五に持ってくる方が納まる

2つ以上の動詞を極力避ける

下五を極力名詞(体言)にする

下五が動詞の場合は終止形で言い切る

5・内容のチェック

もの、事の説明・報告に終わっていないか?

言いたいことが現れているか、あるいは出過ぎていないか?

読者が想像できる余地があるか?

過去の俳句に類句・類想句がないか?他の俳句に酷似していないか?

最後に自分で納得したか