ラガー箚記:運命にぎるSOの二人。ファーストチョイスは李で!
8月27日の早朝のイタリア戦は、厳しい結果だった。
接点、ラインアウト、スクラムは互角に戦えていたと思う。我慢して継続した攻撃もできて、きちんとトライも取り切れた。
しかし、得点はダブルスコア。
この原因は、大きく二つある。
そのうちの1つは、やはり外のディフェンス、アンストラクチャーな部分でのディフェンスで、たび重ねてブレイクされ、トライまで持って行かれていること。
ここは、この夏のテストマッチで、ずっと共通していることであり、アウトサイドセンターが詰めないので、その外側までボールを運びやすいディフェンスになっていて、その先のディフェンスが、強いかと言えば、正直、弱い・・
これを修正しないと、どのチームもここを狙ってくると思う。。
でも、ここは、チームとしても認識しているはず。必ず修正すると信じたい。
もう1つが、SOのゴールキックと、キッキングマネジメント。
先発の李も2本のキックを外し、後半の松田も2本外した。松田はリスタートのドロップキックでもダイレクトをやっている。
五郎丸氏も言う通り、もしもはないけれど、すべてのキックが入っていれば(いずれも、そこまで難しいものではない)9点入っていて、後半の30分の段階では逆転していた。
そうすれば、最後に献上した2つのトライはなかったはずだ。もっと堅実なプレー選択をしたはずだから。
だからこそ、二人のSOに対する論評は、厳しいものになった。
アタックでさして目立っているわけでも、ディフェンスで輝いているわけでもないところもあり、前々回の五郎丸、前回の田村優との比較を持ち出され、人選ミス、とまで言われている。
しかし、今更チームの司令塔を変えるようなわけには行かない。
李と松田。この二人でこの大会はやっていくのだ。
その中で、どちらがメインを張るのか、イタリア戦は、その最終テストだったはずだ。
僕は、その結果は、完全に李に軍配が上がっているだろうと思う。
彼の最初の2つのゴールキックとPGのミスは、本当にミスだった。
イージーなコースを、いずれも引っ掛けて左へ。
1本目は、相手が蹴る前にプレッシャーをかけていて、明らかにそれに影響されてしまい、
2本目は、それと全く同じ位置であることが、メンタルに影響を及ぼしたことは否定できない。
しかし、彼の3本目のキックに、僕は彼の強さを感じた。
3本目は、1、2本目よりもさらに内側。よりイージーなところ。
そのキックを、彼は、プレースすると、特に大して助走も取らず、さっさと蹴り込んで行った。
まるで、1、2本目のミスなど、なかったかのようなキックだった。
普通のメンタルならば、いくらイージーなところとはいえ、
大事なキックを2本も外した後ならば、慎重になるところ。固くもなるところ。
そこを、なんてことはない。いつもと同じように、普通に蹴り込んだ姿に、
彼が、前の2本を全く引きずっていないことを感じた。
その証拠に、前半終了に、彼は45m程度のPGを、
しっかりと正面から蹴り込んでいる。
チームも、40分過ぎ、中央かちょっと入ったところ。無理して攻めるより、李のキックで点を近づけようという思いを、自然と持っていた。
そこに、「大丈夫か、李で」と言う雰囲気はまるでなかった。
それに対して、松田の2本のコンバージョンは、共にダフッてしまい、当たりが悪かった。
また、キックオフのダイレクトも痛かった。
それ以上に目立つプレーも、挽回の様子もなく、
キック以外は、無難なプレーに終始した。
勝つ時は、SOのキックが、ゲームをコントロールしないといけない。
時に失敗もあるだろう。しかし、たとえそれでも、彼が蹴り続け、
それにより、チームを救わなければならない。勝ちをもたらさなければならない。
今、そのメンタルに、より近いところにいるのは、李承信だろうと思う。
このワールドカップの命運を握る一人、SOは、彼でいくべきだと思う。