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占室 円

実家のお墓参りへ

2018.08.15 11:00

 毎年8月15日は人生で一番幸せを感じていた日だ。

 過疎化が進む田舎で、その日だけは帰省した人達で賑わっていた。


 ちっちゃいちっちゃい夏祭りがあって。

 大型トラックに大漁旗を飾って舞台にして、カラオケ大会。

 青年部の人たちが子ども達のために、輪投げや金魚すくいを用意していて。


 家からあまり出てこない町の人もお祭りには出てきて、楽しそうだった。

 里帰りした子ども達のための夏祭り。その日だけは、浜辺が賑やか。



 帰省中は子どもと蟹とりしたり、魚釣りしたり、海辺を散歩したり。


 もっと子どもが大きくなったら、父の船に乗せてあげたかった。砂浜にもつれてあげたかったし、海で存分に泳がせてあげたかったなぁ。


 カブトムシだってとりにいけたよ。


 もっと大きくなったら、ってずっと思ってた。

 それは今だ。

 今してあげたかった。


 

 叶わなかったな。

 

 町は変わり、家もなくなった。

 なにより、帰っても、迎えてくれる人がいない。

 海で泳ぐことすらできなくなった。


 そんなことを思いながらお墓参りにいく。

 木々の隙間から見える海。そんな場所にあるお墓。どこにも負けないように、お掃除する。


 お寺はとても手入れが行き届いている。


 ゴミは持ち帰ってください。山主


と看板があるけれど、山主とは和尚様のこと。時間があると、お墓のある山林の手入れをしている。

蓮の花もサルスベリもムクゲも本当にキレイに咲いている。

 だからお墓なのにおどろおどろしい感じは全くしない。逆にパワースポットのようにすがすがしい。


 和尚様は、震災の時、毎日毎日あちらこちらでお経を読んでいた。

 こちらが気の毒になるほどだった。隣町では和尚様も震災で亡くなられ、大変だったそうだ。


 和尚様のお経は子どもの頃からずっと聞いていることもあり、聞いていてとても気持ちがいい。

 心を込めてお経をあげてくださっているのがわかる。

 お経の前後には解説をしてくださる。

 

 祖母はお寺で御詠歌をあげていた。お盆は大忙しだったなぁ。


 そうそう、夏祭りが始まる前、灯籠流しがあったんだけど、灯籠流しの間御詠歌を歌いあげるのよ。

 幻想的だった。



 お墓参りを終え、

 仮設のあるお店へ。


 頼んだのはミニウニ丼。

 旦那様はくじら定食。


 これぞ故郷の味!


 これで1400円!

 また、寄らせてもらおう、と思いました。


 故郷で当たり前のように食べていたものが、めったに口にすることができなくなった不思議。


 時は流れる。