名曲『遠くで汽笛を聞きながら』のアウトロを分析してみる
全3回に分けて分析してきたアリスの『遠くで汽笛を聞きながら』もついに最終回となりました。
今回はアウトロについて考えていきましょう。
譜面を作成しましたので、良かったら弾いてみて下さい。
【コード進行】
まずはコード進行を分析していきます。
アナライズのためにローマ数字(ディグリーネーム)に置き換えると
Ⅰ-Ⅵm-Ⅳ-Ⅴ
Ⅰ-Ⅵm-Ⅳ-Ⅰ
となります。
今回のコード進行も、全てダイアトニックコードだけで作られています。
1-4小節目を前半、5-8小節目を後半と分けてみてみると、前半も後半も全体的なコード進行は似ています。
その中で、前半の4小節目にはドミナントであるⅤを配置することで、もう一回しアウトロが続くようにコード進行を循環させ、後半の8小節目にトニックであるⅠを配置することで、曲の終わった感じを演出しているのがポイントです。
【フレーズ】
今回も使用されている音を見てみましょう。
今回も基本的にはペンタトニックスケールを主体に構成されており、随所にダイアトニックスケールの音が追加されています。
こうやって見てみると、今回はダイアトニックスケール以外の音がないですね。
今回もペンタトニックスケール以外の音を見ていきます。
まず2小節目の最後から3小節目に登場するソ♭の音。
これはイントロ、ギターソロでも出てきましたが3小節目のコードがG♭(ソ♭シ♭レ♭)なので、コードトーンを意識して弾いています。
数小節先のコード進行を把握した上で演奏しているので、2小節目の4拍目ウラウラから次のコードに向けてしっかりと流れに沿って音が選ばれていますね。
次に登場するのは4小節目と5小節目に出てくるソ♭の音。
この時に鳴っているコードですが、それぞれ4小節目はA♭(ラ♭ドミ♭)、5小節目はD♭(レ♭ファラ♭)なので、ソ♭の音は4小節目のA♭にとってはm7th(key=D♭のとき、A♭は4和音にするとA♭7)、5小節目のD♭にとっては11thなので、D♭の3rdであるファの音に半音でアプローチする接近音(m2ndもしくはMaj2ndのインターバルからコードトーンに解決しようとする音)として捉えることもできるのですが、今回に関してはコードトーンを意識したというよりも、曲のキーであるD♭メジャースケールとしてポジションを見て弾いているんだと思います。
次に6小節目のドの音。
その時のコードはB♭m(シ♭レ♭ファ)なので、9thの音に当たります。
9thから半音上がってコードトーンであるレ♭にアプローチ(接近音)し、m3rdから9thを通過(経過音)してコードトーン(root)のシ♭に解決するこの動き。
ポジションこそ違いますが、前回のギターソロパートでも出てきました。
【その他ポイント】
今回のポイントは何といっても4小節目から5小節目にかけての速いフレーズでしょう。
早いフレーズを弾く、高い音程の音を弾くことは、その場を盛り上げる効果があります。
壮大なこの曲のラストを盛り上げる素晴らしいソロだと思います。
また今回のように同じフレーズを繰り返す奏法をラン奏法と呼びますが、ラン奏法も盛り上げる為によく使用される方法です。
合わせて覚えておきましょう。
【演奏時のポイント】
演奏時のポイントも4小節目から5小節目にかけた早いフレーズだと思います。
今回のフレーズではプリングが多用されています。
1音目をピッキングし、2音目をピッキングしないで演奏しますが、プリングは単純に指を真上に離しただけではしっかりとした音が鳴りません。
左手の指を離す際に少し下方向にひっ掻くイメージで離す事により、しっかり発音させる事を意識しましょう。
ピッキングしている音と同じ音量を出すことがポイントです。
いかがでしたでしょうか?
シンプルなペンタトニックスケール+αの音だけで、イントロ、ギターソロ、アウトロとメロディアスで美しいソロを構築することができるいい例だと思います。
また使用している音の一覧表を見ていただくとわかるのですが、使用されている音の数はそれほど多くないと思います。
スケールと聞くと難しそうとか、覚えるのが大変そうとかネガティブな印象を持ってしまう方もいるかもしれません。
そういった方は、いきなりスケールを全部のポジションで覚える必要はありません。
まずは好きな曲で使用されているポジションだけ覚える。
次に好きな曲に合わせてそのポジションだけで自由にアドリブをして遊んでみる。
そうすることで、楽しくスケールやフレーズが身につくのではないでしょうか?
これからも様々な曲を教科書として取り上げたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!