フィリピンで英語漬けになった7日間・その②
シリーズ、フィリピン留学記の続きです。
【第1日・日曜日】
私が留学先に選んだ学校は、フィリピンの首都マニラがあるルソン島のパンパンガ州にあった。夏の指導講座や秋のハロウィンレッスンを終え、少し時間に余裕ができる11月半ばごろ。私はマニラを目指し、機上の人となった。チャイナエアラインでまずは関空から台北へ。台北では乗り継ぎの時間が数時間あったため、桃園空港のラウンジで休むことにした。
ご存知の方も多いかもしれないけど、海外旅行をよくされる方は「プライオリティパス」を持つことをお勧めする。これは世界中の空港にあるラウンジを利用できるパスのこと。年会費を払って会員になることもできるし、クレジットカード会社のカードの種類やプランによってはプライオリティパスが付帯するサービスを持つものもある。パスがあれば空港のラウンジで過ごせるため(無料)とってもお得なのだ。
※訂正:プライオリティパスは加入プランによってはラウンジ利用が有料でした。
もう少し空港ラウンジについて語る(大好きなので)。
ラウンジは旅行者がゆったりできる環境が整えられている。広々としたスペースにたくさん置かれたソファでくつろいでもいいし、小さな個別式のデスクとチェアのスペースで仕事をしたり、これから行く先の国についてゆっくり調べてもいい。もちろんWIFIは完備。それから、各種ドリンクはもちろん、サンドイッチやおにぎり、ラーメンやスープといった軽食にフルーツやスイーツの提供がされているから、くつろぎながら好きなだけいただくことができる。働いているコンシェルジュやスタッフの方たちも礼儀正しくて親切。あと、たまに綺麗なシャワールームが完備されているラウンジも。長い乗り継ぎ時間にシャワーでさっぱりして旅の疲れを取るのはとても快適。あとは簡易ベッドがあれば仮眠ができるから完璧なのになぁ、と思うけれど、ラウンジにそれは無理か。
台北から無事乗り継ぎマニラのニノイ・アキノ空港へ到着。関空を出たのが朝の9時頃だったのに、マニラに着いた時点では23時を過ぎていた。荷物を受け取り、急いで夏仕様に着替える。といっても、着ていたフーディを脱ぐだけ。中はTシャツだったのだ。ボトムスは柔らかめのガウチョなのでこちらはそのまま。
空港の外は夜。真っ暗。でも、南国特有のムッとした熱気がたちこめていた。タクシーの運転手がたくさん。「どこまでいく?」「タクシーあるよ」「乗せていくよ」と口々に声をかけてくる。大きめのスーツケースをひとつ転がしながら私は、留学先の学校から迎えに来てくれるはずの人を探した。まもなく、スクール名と私の名前を記載した用紙を掲げた半袖のシャツとパンツ姿のフィリピン人男性を発見。「Hello.」と声をかけると「Ms. Y?」と確認があった。少し話しをして、その人が示した乗用車に乗り込んだ。
私が通う学校は、留学生の滞在先として現地のホテルを提供していた。私がまず向かったのはそのホテル。マニラを離れ、空港から車でたっぷり2時間かかった。到着したのは2階建ての小綺麗なモーテルといった感じ。外から直接個人の部屋に入れるタイプのホテルだ。夜なのであたりはよく見えないけれど、ローカルな街中にあると知った。夜中だけど、ホテルの従業員や近所の人が、けっこう出歩いては、互いにのんびりおしゃべりをしたりしていた。つまり治安はさほど悪くない、と検討をつける。これ、大事。
スーツケースを運び出してくれた運転手の彼に着いてホテルのフロントへ。フロントの女性から、シーツは2日に一度交換するということとか、洗濯はこの袋に入れて朝の内に渡してくれれば夕方までに仕上げますだとか、デポジットとして××ペソ必要ですだとか、説明を聞いた。この時点で、私はかなり眠い。真夜中だし、結構な長旅の緊張が、到着して一気に緩んだらしい。丁寧な説明に礼を言って、××ペソを支払い、フロントの女性から部屋の鍵を受け取った。
そこへ、学校の日本人の女性スタッフが現れた。夜中に到着する日本人学生には慣れているのだろう。感じの良い笑顔で歓迎の言葉を述べ、翌日(というかもう今日だけど)の予定を伝えてくれた。また、学校や近隣の買い物スポット等をまとめた手作りの冊子と、1週間分の朝食が入っているという大きめの紙袋を渡してくれた。食事を気にしなくて良い、このサービスにはとても助けられた。特に一日目は近隣の勝手が分からず、また到着の時間帯によっては食料の買い出しに行ける時間帯でもない。朝のご飯を心配しなくて良いのは本当にホッとする。そういえばひとり旅に出る時の私は、いつも到着した翌日の朝食だけは荷物に忍ばせておくことが多い。カップ麺とか、お湯を注ぐだけのご飯とか。春雨スープやインスタント味噌汁もかさばらないからお勧め。まだ地理を把握していない地域を、朝から出歩くのがとても面倒なので。
紙袋の中には、食パンが一袋、ジャムとピーナツバターの小袋がたくさん、クラッカーが2箱、シリアルひと袋、リンゴとバナナが数個、ナッツやドライマンゴーの小袋など。あとはミルクとオレンジジュースが1カートンずつ入っていた。1週間分の朝食には十分。
「明日朝8時に迎えに来ます。まず学校をご案内してから、オリエンテーションとクラスのレベル分け試験を行います。」とスタッフの女性。学校案内?オリエンテーション?レベル分け試験?学生時代以来だ。久しぶりのワードにちょっとワクワク感を覚える。短いけれど留学生活が始まるのだという実感がこみ上げたのだ。
ホテルのお部屋は一階の3部屋目だった。中は割と広く、掃除が行き届いており、居心地がよかった。ダブルベッドのシーツが真新しくてとても気持ちがいい!私は冷蔵庫に食べ物を入れ、スーツケースを開いてクローゼットにワードローブをしまい、シャワーを浴びてベッドに横になった。初めて来た土地にちょっと緊張していたのにも関わらず、そのまますぐに泥のように眠ってしまったのであった。
明日からの英語漬けの学校生活についていけるのだろうかとの不安がなかったわけでもないけれど‥ (つづく)