ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女
ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女
The Chronicles of Narnia ;The Lion, The Witch and The Wardrobe
2006年3月7日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて
(2005年:アメリカ:140分:監督 アンドリュー・アダムソン)
私は小学生の時から、ナルニア国ものがたりは大好きでした。もう、小学生の時のナンバー1。
それから私は何度、この物語を読み返したかわかりません。
一作目、『ライオンと魔女』は、確かクリスマスの時に欲しい本を買っていい、と言われてなんとなく選んで、その後、こたつに入って、一気読みして、もう一回最初から読んだ小学生の時。それからもうナルニアの虜です。
神保町の洋書店で、この原書を見つけて、ドキドキしてお金をためて、読めもしないのに全巻買った中学生の時。
試験勉強がわりに原書を読んでいた高校生の時。
歌じゃないけど、思い出がいっぱ~い、なんであります。
このHPの本について、の中で「バタカップの色」というページで、ナルニアの事を書いていますし、ナルニアや作者ルイスのサイトなども載せていますので、興味のある方はのぞいてみてください。
ここまで思い入れがあると、映画に対しては不満が出るのではないか、という厄介な原作マニアになってしまうのかな、と自分でもわからなかったのですが、映画はとても原作を大事にして、よく映像化してくれて私は大いに満足です。
特に、挿絵のポーリーン・ベインズの絵を大事にしてくれているのがいいです。
原作と違う所は、いくつかあります。でもすごくどうでもいい些細な事なんですよね。
例えば、白い魔女が最初に出てくる時のソリのトナカイは2頭・・・映画では6頭である、とか・・・フォーンのタムナスさんの尻尾が短い・・・とか、映画でルーシーが初めて衣装ダンスを見つけた時、白い布がかけてありますけれど、これは映画だけですね、とか。どうでもいいことばかりです。別に原作読んでいなくてもいいことなんですが、私はもう、あ、ここは!わぁ、これね!と次々と頭の中に、「私のナルニア」がフラッシュ・バックして、まぁ、観ている間忙しい、忙しい・・・2時間20分もある映画だった、と終わってから気がつきました。もう夢中で見入っていたのです。
細かい所、ちゃんとやっているなぁ~と感心するのは、衣装ダンスにルーシーが入るとき、扉は、完全には閉めないで、少し開けておく・・・という事が出来る子なのですが、エドマンドの時は、迷わずバタンと扉を閉め切ってしまう、といったあたりですね。映画では台詞ではなく、ちゃんとここら辺もさりげなくきちんとやっていますって当たり前かぁ・・・まぁ、私はそういう所にほうほう~と感心しつつ観ていた、という訳です。
原作の魅力、というのはシンプルさ、にあります。読み手の想像力にまかせる部分が大きいので、あまり細かい所まで設定はされていません。むしろ、アバウトな設定であるといってもいいと思います。あまり派手な物語でもないし。
だから、ファンタジー超大作・・・・と言われてもあまりピンときません。それにかっちり、きっちりしたファンタジーなんて、つまらないなぁ。
確かにアニマトロニクスも凄いし、戦闘シーンは迫力だし・・・で。
しかし、この第1章では、まだ、ペベンシー家の四人は何も知らない、何も出来ないのに巻き込まれてしまう・・・という事なので、戦いにしてもへなちょこなのは、もう、原作通りなのです。
特別な能力を持っている訳ではない、普通の子供が、ナルニアという別世界で、冒険し、王や王女となる、また動物たちが喋るというのも子供時代の夢・・・子供心をくすぐるもので、本当に現役子供の時に、ナルニアにぼお~~~~~~っと妄想はせる子供で良かったと、めずらしく自分を褒めてあげたいのです。
そういう気持ちにさせてくれた、映画の作り手に感謝したいし、今、この時代に映画にすることが出来たのは、『ロード・オブ・ザ・リング』(『指輪物語』)、ハリー・ポッターシリーズなどが映画として成功して、道を開いてくれたからこそ、と思います。
監督自身、10年前、映画化を持ちかけたとき、当時は、アメリカに舞台を移さないと映画には出来ない、と言われ、やはり原作通りに作りたいと待ったエピソードを知って、なるほどなぁ、と思います。
この映画で一番良かったのは、雪の森の中にある街灯ですね。何故、森に・・・っていうのは追々わかるので今は書きません。
そして、エドマンドが白い魔女からもらうお菓子は、原作では「プリン」となっていて、本当はターキシュ・デライトというイギリスのお菓子なのだ、と訳の瀬田貞二さんが書かれていて、どんなものだろう・・・と思っていたのですが、まっ赤なぎゅうひ・・・みたいな・・・。ちょっと禍々しい感じの色が良かったですね。
このナルニア国ものがたりは全7巻なのですが、原作の長さはほとんど同じです。ハリー・ポッターシリーズの映画の苦しい所は原作がどんどん長くなって、どうはしょるか・・・が命題のようになってしまった所ですが、ナルニアは安心です。
先の事を書いてしまって脱線しますが、私はこの後の第3巻~第5巻、『朝びらき丸、東の海へ』『銀の椅子』『馬と少年』が特に好きです。
物語が進んでくると、隣国がアラビア風の国だったりして、野蛮人・・・みたいな表現もあるのでそこが微妙なんだけどなぁ。
ナルニア=白人っていうのは、一部の大人からは嫌悪感持たれてしまうかもしれませんが、そこは、ちゃんとアラビス王女とか、りりしいアラビア風の王女とか出てくるし・・・あんまり深く考えてもらいたくないのですが・・・まぁ、原作者、C.S.ルイスはその著作の中で、当時華やかだったアメリカのディズニーアニメを子供の想像力を駄目にする・・・と大批判していたのに、この映画はディズニー・ピクチャーズである、って所・・・大人になってしまった自分、ちょっと気持、複雑。
でも、第6巻目『魔術師のおい』は、『オリバー・ツイスト』で、力見せてくれた、ロマン・ポランスキー監督はどうかなぁ~~~なんて・・・はい、脱線、終り。
とにかく、この映画は、ファンタジー超大作という宣伝よりも、原作の世界を非常に大切にしている、という部分がとても好きなのですね。
子供たちもペベンシー家の4人だけではなく、どんどんこれから、新しい登場人物が出てきます。
原作からして、「大きくなった子供はもうナルニアには来られない」という掟があって、皆が皆、ナルニアに行けるというわけではないのです。
やっぱり、最後まで映画化して欲しいなぁ、と思います。